旅人、覚書。
11/25(土)午後。
目黒シネマ経由、吉祥寺バウスシアター・レイトショーへと移動。
昼間は「ハチミツとクローバー」「笑う大天使(ミカエル)」の少女漫画原作2本立てを初見、その夜は日本最終上映(!)「真夏の夜のジャズ」を再見。
目黒シネマーには、番組内容的に当然ながら20代女性(一部男性連れ)の比率が高く、中高年男女は少なめ。
ロビーには「竹中直人さんが、ほんとに来場された!」旨の張り紙新聞が。
よくぞ。劇場スタッフとの約束に、義理堅き御方。
実写版「ハチミツとクローバー」はなぜか、わが周囲の通人層には評判が悪い。
おそらく原作キャラのイメージに縛られ、どうしても比較してしまうせいだろう。
以前、フジ系で深夜にアニメ版をやっていたのに気づいて、原作の存在を知った口なので、原作のキャラと展開はよく知らないままで、実写版をいきなり観た。
・・・はあ、概ね「ツルモク独身寮」や「きょうのできごと」くらいのもんかな、という感じ。
真っ直ぐな<青春君>たちの恋と才能ゆえの悩み、その美術学校版。
とりたてて新しい感じは無く、万事がフラット描写、アート志望者達ゆえの胸に迫る狂おしさを描く力には乏しかった。
結構興奮させられそうな題材なのにもかかわらず、いかにも典型的<フジTVドラマ>風に見えて仕方ないクールなドラマ表現のあり方が、そのありうるべき興奮をやや抑制して、冷やしてしまっている、そんな気がしてならない。
ただ、台詞を少な目にしぼった蒼井優のちょこまかした動きとナイーブな演技だけは、たしかに光っていた。
彼女が出る部分のみ、画面が弾んで見える。
それと、各人悩みの果ての<黒塗り>や<炎>シーンの後だからこそ、ラストに差し出す<絵>には、それなりの<爽やかなインパクト>が欲しかった。
あれの印象が薄いので、映画の締めとしては、弱いのだ。
(なお、池田鉄洋氏がちょっと出てるようです・・・の声)
「笑う大天使」は、これまたかなり前のコミカル・ファンタジー漫画。
なぜ今頃になって実写映画化?といぶかしく思っていたが。(注1)
立体的CGの進化が可能ならしめた、といえばまず、事足りるだろう。
それだけ、原作漫画(川原泉)のユーモアとナンセンス、および丸っこい画の持つ魅力が大きい、といえる。
(犬だって、CGで出てくるもんな・・・の声)
まるで「ハリーポッター」のそれみたいな通学専用列車と橋梁、長崎ハウステンボスでのロケ、シスターも海賊?もフランス風、とすべての世界観がまるまる<擬似ヨーロッパ>的風景の下、世俗から隔離された陽気で暢気なクリスチャンお嬢様女子高校の<ごきげんよう>ワールドが展開。
その中で元・庶民派の関西系転校生が、2人の新しい友人、できたての兄弟青年らに囲まれて、それなりに要領よく、茶目っ気を発揮しつつ学園生活を謳歌する。
で、主役はまたしても、上野樹里。
(いよっ、待ってました!の声)
俗すぎずきつすぎず、の丸っこい主役キャラを演じるには、ピッタリ合っている。
露骨ないじめも、がっついた生存競争も集団間抗争も無い、
その一方で宝塚流<お姉様>人気は存在する、
先達「うる星やつら」さながらの怪力女子高生は居る。
極度に理想化された、ほんわか学園テーマパーク・ワールド。
いってみればここは、男子高校生の居ない事と、肉体的ぶつかりあいの印象がやや稀薄なことを除けば、ミニ・友引高校そのものである。
台詞やナレーションに、丁寧すぎるほど細かいくすぐりが一杯。
<コロボックル>、<おチキンおラーメン>等には微苦笑。
(何でも「お」や「ご」を付けるんじゃない!の声)
謎の誘拐犯(すぐ、誰だかは察せられたが)との、おそらくはワイヤー入りのバトル・アクションでは、いわゆるSFXとしてふんだんに使用されたCG技術の力で、文字通りの漫画的デフォルメが陽気にぶちまけられる。
まさしくニャロメ、の漫画世界。
まあ、実写版鉄人なんかよりは、ずっとマシな使い方だな・・・と。
お涙頂戴の混じったお約束な締めも、心憎い限りなり。
とにかく、原作世界をなるべく忠実に、という映画。
いささか凝り過ぎなナレーションの突っ込みとキリスト教方面らしい神話?に乗っかれれば、結構楽しめる。
各作品内に充満するやや予定調和の方向性に縛られながらも、そこからより一歩抜きん出ようとしている<表現>の力を、ヒロインの弾む動きっぷりがわずかにだが確かに見せつけている、2本の実写版映画。
「亀は意外と早く泳ぐ」で共演していた彼女達は今、じわじわと、かつての薬師丸ひろ子や斉藤由貴の居た位置に足を踏み入れかけ、動き回っている・・・とみた。
「フラガール」もTVドラマ版「のだめ」もおそらくは、それらの成果の延長上にある・・・?
「真夏の夜のジャズ」については、別記予定。
以上。
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- 2006/11/27(月) 20:59:42|
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