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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

刺し技、裏技、騙し技

旅人、覚書。


水曜14時のチバテレビでは「暗闇仕留人」が、貢の「世の中は、よくなっただろうか・・・」という必殺シリーズ自体の屋台骨に内包されたジレンマ、ぼやきを残して、全話完結。
続いては・・・
「江戸プロフェッショナル 必殺商売人」がスタート。

シリーズ初、妻りつの懐妊に振り回される中村主水(藤田まこと)。
足力屋(足踏みマッサージ師)に転職した正八(火野正平)と二人、「新必殺仕置人」生き残りコンビ。
そこに、元夫婦のおせい(草笛光子)・新次(梅宮辰夫)コンビが加わる。若手色男系がおらず、かなりアダルトな印象のチーム。

草笛光子扮する踊りの師匠・おせいはもしや、あの「必殺必中仕事屋稼業」で元締の、おせいさんでは?とよく言われる。
技は匕首(あいくち)仕込みの扇、簪刺しなど女性らしい。
芸者の箱屋と髪結いを兼業する新次の技は、とがった櫛(くし)の首筋刺し。刺した櫛の歯がボキッ、と折れてめり込む。結構コワい。


おすすめは第四話「お上が認めた商売人」。えっ!?

実はこの回、江戸城内で評判の、時代劇ファンには超有名な、ハッタリ大芝居でお大名を懲らしめる茶坊主、河内山宗俊の仕事依頼なのだ。
扮するは必殺出演常連・芦屋雁乃助。(注1)

仲間の茶坊主が手癖の悪い松平家の大殿様に、名匠造りのキセル(煙草を吸う筒)泥棒の濡れ衣を着せられて、処刑に。
その家族の無念を晴らすべく、レギュラー一同と早春が連携プレーで、殿様と2人のオダテ屋家来をワナにはめ、とんでもなく大掛かりな仕返し作戦を挙行。
時世の句まで人のを盗むこのワル殿様、ほんまに、どうしようもない人。大笑いである。
そして<商売人>一同には、更にとんでもない仕事料が届く・・・!
終幕、静止画で荒れまくる一同に、もう、腹を抱えて爆笑。
CS・DVD等で一見の価値はある痛快作、なり。



旅人より。



注1:勝新太郎が河内山役で、主演のシリーズもある。 [刺し技、裏技、騙し技]の続きを読む
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  1. 2006/11/12(日) 17:55:52|
  2. 時代劇
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サリエリからもモーツヴァルトからも、のだめ嬢からも遠く、旅先にありて

旅人、覚書。


スケジュールが合わない、時間の都合がちょうどよくつかない、という事がどうしても、あるもの。
この週末は、知己たる人の参加する上映関連イベント2箇所(鉄道関連、および韓国まんがまつり方面)に実質、全く参加できぬままに終わったのが、かえすがえすも残念、無念である。


で、土曜に唯一、時間的に丁度よかったのが、またしても池ノ上シネマボカン。
相川興太(あいかわ・こうた)監督全作、プラス新作の特集上映。

新宿ロフトブラスワンに池袋SCUMに下北沢トリウッドに、「夢の中へ」出演に、と何かと御縁のある、相川監督。
直接お話を伺うのは、随分久方振りである。
作品中で<新宿派>を自ら名乗る監督としては、できればまず、<ロフトプラスワン映像祭>あたりでやりたかっただろうが・・・。
とりあえずシネマボカンという場があったのは、幸いであった。

新作1本を除き、皆、あちらこちらの会で既に観たものだが、「お父さん」他の一部音楽が、別な曲に変えられており、最初の上映時の音楽とは又、違ったムードの味わいがあった。

最初は8人位だった観客が、途中の「お父さん」あたりからあれよあれよで増えてゆき、いつのまにか20人程になっていた。
当然というか、監督の知人関係が多い。
特に「もーえーよドラゴン」「ウルトラQ」「森のことだま」に関しては笑いの反応が顕著で、喜ばしい。
監督自身による上映中解説、自己突っ込み一杯の教室参考上映といった感じ。思わず吹き出す。
(これが他の上映会だったら、「作品に集中させてくれ!」となるところだが。許せてしまうのは人徳というべきか?)
詩歌、私小説、ないしはエッセイに近い作風もさることながら、主演の多い監督本人に、余人を持って変えがたい不思議な魅力があることも又、確かなのである。


今回こうして、初主演・実質デビュー作「もーえーよドラゴン」から順に見直してゆき、2年ぶりの最新作「僕のやりたい事」(各場面がだらっと長いのが、多少気にはなるが・・・)まで到達すると、相川ワールドの傾向、方針がよく見えてくる。

1・監督本人の見せる、どこかしらコミカルな風体とユーモラスな言動。
それらはある種の生真面目さとも同居しており、作品の独特な雰囲気にもつながっている。
彼自身の存在が、作品のムードメーカー・キャラになっている。
「僕のやりたい事」ではコピーバンド式の歌(!)まで歌い、劇中劇に危なっかしく?活弁をつけるシーンがあるが、明らかに山田広野監督のそれとは違う味わいさえ、僅かながらも次第に感じ取れてくる。

2・唐突に発する、かん高い雄叫び!による感情表現。
「もーえーよ・・・」の時は元々カンフー・パロだからぴったりなのだが、「森のことだま」で突如発動したときは予想だにせず、びっくりした。
これ抜きで相川ワールドは、考えられない。
「How To build GUNDAM」だとこれが「粛清!」「うしろ!」のウサ晴らしシーンとなる。

3・一見さりげない風を示しつつも、その実あまりにも赤裸々な、自身の青春期に関する告白シーンの数々。

監督本人も解説や新作「僕のやりたい事」の中で言っている通り、彼は自分の言いたい事をうまく表現しきれない<もどかしさ>を、常に抱えている。
よって独特な作風の源が、監督自身のもどかしさ、その内部心理の吐露から発している。
ゆえに、そこを何とか伝達すべく表現をし、記録する。
殆どの筋、展開、映像記録がそのための、方策の一環として在る。
<俺の新宿>なる歌も映像ルポも、入浴歌唱シーン(一部笑いが起きた)も、その一環。
しかしそれでもなお十分に表現しきれないもどかしさ、不足感を時には愚直なまでに、「夢の中へ」では締めの文字群、「僕の・・・」では観客への御礼挨拶(劇中で!)という反則すれすれ?の形で表している。

4・これまでの人生を回想(自分探し、ではない。多分)しつつ、その先に何らかのポジティブさを求めようと模索する、その心理吐露と描写。
学生期の作品「お父さん」、外へ出て後の「夢の中へ」「森のことだま」にはその傾向が、特に見て取れる。
「落ちて・・・」の主演もコメディーというよりは、この線に近いのだろうか。
「夢の中へ」の「夢も僕の思い出だ!」と言うつぶやき、「僕の・・」で「教師にはなれなかったけど、小さな夢は違う形でかなえてみよう」といった意思表示などに、ささやかな人生への希望が見い出される。


5・ハリー・ハウゼン式のミニチェアアニメや特殊撮影の入った、ファンタジー志向のドラマシーンを好むこと。
「ハリー・ザ・ビッグファイト」「ウルトラQ」「君とラブリー」がこの傾向。
「ウルトラQ」の<怪獣>を前に生真面目な芝居が続くあたりは、どうしても笑ってしまう。

・・・などなどと語っていると、ふと、ひるがえって我が身の事に思いが移る。
じゃあ小生自身は何が言えるのか?何をどうやって描けるのか?実現できるのか?
花一本描かず、小説や脚本の一篇すら、書いていないではないか?
そもそも何かを描きたい、見せたいという衝動が、そんなに自分の中に今あるのか?
という素朴な疑問へと、時にはつながってしまうものだ。

よく考えれば、人生という名のリアルな小説は、毎日描いている、わけなのだが・・・?
(無理に個性的であれ、というのも何だかおかしいし。)
どっちみちそれらは、他の人も生活ブログやミクシイや小説サイト等で、皆がとっくにやっていることだし。
他人に見せる<自己表現>が小生のそれである必然性は、どの程度あるものなんだろうか?
少なくとも相川氏には今間違いなく、それがあるわけで。
当然いろいろ模索や努力の結果、そうなってきているわけなのだし。

そちら方面は、ここの文章でささやかながら平々凡々と?<表現>していく事で、とりあえず解消しつつ、時折探ってみるしかなさそうだ・・・。
やはり小生は、<観客型>向きなのだろうか?

と、帰宅後一人、つぶやくのだった。



旅人より。










  1. 2006/11/12(日) 02:02:43|
  2. インディーズムービー
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