ご無沙汰してます。
主水日記。
この夏、暑さがこたえる上に、公私ともに予定変更だらけで、かなり、へばっていた・・・。
身体は正直。さすがにもうそろそろ、ギリギリダッシュでのハシゴ映画はきつくなってきた。
ラピュタ阿佐ヶ谷では恒例怪談特集、荒木一郎出演特集レイトショー、などの刺激的なリバイバル映画にも一部行ってきた。
「花嫁吸血魔」(1960、新東宝、並木鏡太郎監督)は池内淳子主演。スター女優の卵達をめぐる出生争いが不幸を招く話。変身した魔物がもろに男で、剛毛雪男造形。ちょっと拍子抜け。当時の撮影所が写っていて楽しい。
「呪いの館 血を吸う眼」、岸田森の吸血鬼も久々に堪能したし。
モノクロ映画「怪談蚊喰鳥」(1961、大映京都、森一生監督)で船越英二のずうずうしい弟按摩役(生真面目な兄按摩と二役)、見事すぎる演じっぷりには、あっけにとられる。文字通り陶酔。
納涼にはちょうど良かった。
レイトでは基本的に「映画秘宝」記事方面の延長上トークだったが、一部激ヤバ<諸般事情>内容も。
(つまり、とてもフルで書けない。ごめんね。)
荒木一郎氏が特別ゲストの夜、
「映画でNG出すとフィルム代がかさむので、嫌がられる」
「長いシーンの演技プランを立てて撮影中に、終わり寸前でやばくなって、とっさに服をぱっと動かしてつないで、OKになったことがある」
「脚本がきっちり完成度高いと、それ以上の事を見せないと何だアレは、って言われるから演技が難しい」
「ゆるい脚本だとアドリブをかませてつなげるから、いろいろ演じやすいんだ」
とのたもうておられたのは、何となくうなずける気がした。
中島貞夫監督「まむしと青大将」は菅原文太のお人よし出所やくざと弟分のミニミニ組長・川地民夫コンビにからみ、トンビに油揚げさらう知恵者イカサマギャンブラー役を荒木が飄々、独特の軽味で好演。詐欺作戦仲間は川谷拓三に、貯金大好き風俗嬢の緑魔子。
荒木の呼び名が<ベビーフェイス>、笑う。
唐突な最期に唖然。殆ど主役といっていい。
同じく中島貞夫監督、「ポルノの女王 にっぽんSEX旅行」はスウェーデン女優クリスティーナ・リンドバーグの密輸旅行者を荒木一郎の内気な爆弾魔青年が京都で監禁する話。女優出演契約の都合により急遽、3日間で撮り上げたそう。
サスペンスがやや希薄、大雑把で、張りの無い出来だった・・・。
リンドバーグがスウェーデンの国情を語る字幕シーンは興味深かったが。腹芸シーンには満員の場内、皆、笑った。
後、テアトル新宿・渋谷アップリンクの石井輝雄監督追悼企画に寄れなかったのは、つくづく悔やまれる・・・。
さて、ついさっき、テアトル池袋、最後のレイトショーを観てきた。
ここのロビーの、黒い床タイルともついに、お別れの夜が来たか・・・・。と、若干しんみり。
ラストプログラムは、細田守監督のアニメ版「時をかける少女」。
映画界で評判が良いという。まだ観ていなかったので、ちょうど良かった。
恒例の非常階段並び待ち行列も、今夜が最後。8階の扉後方から順に、下の階へ螺旋状の列が続く。座り込んで作品談義に花が咲く人々。20代・30代中心、男性通人グループと女性2人組ファンが半々位。
そういえば、北野武監督が来場した時はこの列が一階まであって、ついに入れずじまいだったなあ・・・。
千葉真一先生のときは、整理券を取れたので何とか立ち見で入ったが、「新・影の軍団」(第三部)上映中は足腰がつらかった・・・。
今夜は整理券も無し、全員当日券入場のみに。
場内、座席をとれた。座布団も出る大盛況。
ロビーから入場時に、係員女性からペットボトルのお茶を渡された。
上映終了後に乾杯するために、飲み残しておいてください、との場内アナウンス。
カメラ取材が入るので、舞台挨拶は撮影ご遠慮を、との指示も。
確かに一台、入っている。
上映前に最後のゲストたる細田監督が進行案内めいた挨拶、上映開始。
噂どおり、かなりの前向き、即行動派ヒロイン登場。
男性2名にはさまれて、行動・突進・転倒を繰り返す。
原作・旧作の<和子>らしき人物も登場、その後の話ととってよかろう。<魔女>扱い?なのはちと気の毒だが・・・。
過去の記録の扱い方が旧作と少し違うのにちょこっとだけ、ひっかかった。これも平行世界と思えば問題なし、だろうか。
主人公のもろに前のめり、スーパーボウルな?猛烈ダッシュ、疾走感、泣き笑いぶり。それこそが、画面に勢い、弾みをつける。随所で爆笑。
町を写す風景の立体感が、くっきり出ている。
切り絵のような処理が、上質。
舞台はどうやら、京成電鉄沿線、参考らしい。
ビル・マーレー主演のとある洋画に似た、人間関係のズレ、そして修正作戦の連続。この脚本がよく出来ている。
「ゲド戦記」の20倍以上はすばらしい。(「UDON」は10倍位か?)
画面に躍動感と笑いと、恋と友情の切なさがみなぎる、現代的青春映画に仕上がっていた。
お見事、というべし。
当所最終上映が終わり、一同、拍手。
上映後、アロハ姿?の細田監督と角川書店のワタナベ氏(元・アニメージュの編集長だそうです)による乾杯の音頭。
全員で起立、ボトルを掲げ、26年間営業したテアトル池袋に「おつかれさま!!」記念ポーズ。
引き続き当館の思い出トーク。
細田氏、ここの周防正行監督特集で昔、「シコふんじゃった」を観たそうである。帰りに呑んだ屋台のおやじさんにもすすめた、とか。
映画はビデオやDVD、csでも観れるけど、劇場で観るとあの日あの時どんな状況下で観たか?が記憶に残って感慨が全然違う、と監督。
まったく同感なり・・・。
ここでは、あまり劇場にかからないOVAも、スクリーン上映していたそうだし。それは大きいスクリーンのほうが、やっぱり印象深くなるもの。
「時かけ」は今後も新宿タイムズスクエア、他にもムーブオーバー決定、とのこと。
未見の方は是非。
かくて23時10分過ぎ、すべてのイベントが終了。
皆、思い思いに、記念撮影。デジカメや携帯が大半。これも時代ナリ。
又、映画ファンの、心の故郷が一つ消えてゆく・・・。
以上。
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- 2006/09/01(金) 01:57:48|
- 劇場用映画
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