主水日記。
19日夜、シネマアートン下北沢。
P-kraft制作、井川広太郎監督の中篇「東京失格」は・・・
ひとことで言えば、「お葬式」PART2、だった。
だがあちらよりは表現がストレートで、すっきりしていて、かつ素直に感情移入できるいい映画に仕上がっていた。
学生時代からの友人同士、花見酒に始まるこの映画。
CGの桜咲き誇るOP後、突然その一人の髪型ががらりと変わって、ちょっと驚く。
(福島拓哉、存在感引っ張り好演。)
以後はひたすら、主役の30代男性コンビが、急逝した知人の葬式帰りに友人達と語らい、女性達としゃべり、酒を飲み、あるいは散策し、遊び、食文化や人生や女性観察、将来について、などの話を延々し続ける。
小さな二人旅。
セミ・ドキュメンタリー・タッチの芝居と画面が、宴会のにぎわいを盛り上げ、少なからず効果をあげている。
一昼夜のささやかなる道中で、いろんな話が出る。
外国では呑み会やラーメンにあたるものって何だろう、とか。掘り下げると面白い視点も出てくる。
途中一人の通うスタジオでロックライブの練習を披露したり。声の調子合わせがわかりやすいシーン。のど飴をホラヨ、と渡したくなる。
明け方に風呂屋で牛乳を飲んだり。気持ちよさそう。
道中、一時合流した知人女性(葬式に来ていた様子)と3人で飛行機を眺めたり、ビリヤードやカラオケで別な女性達と遊んでみたり。
ナンパな盛り上がりは俺たちの呑み会とは違うんじゃないか、とマジになって言い合ったり。
男なら一度はやってみたいシチュエーション、いっぱいだ。
ある意味、真にカッコいい男達とは、ああいう感じなのかもしれない。
とにかく、2人が呑み、食い、語らり明かす。別れを惜しむ時まで。
そして一人になった人物のある行動が、心にじわっ、とくる。
ほんとうに、ただそれだけの呑み会映画。きわめてミニマムな世界。
シナリオライターが<親友との呑み明かし>を経験していれば、とりあえずはほぼそのままで?書けそうな筋で、これといって目新しい派手な要素は何一つ無い。
シンプルそのもの。愚直なまでに。
だが、だからこそ、奇をてらわず台詞のつぼを押えたドラマとして、一般の観客にも普通に通じる。
(初日は20代男女が中心だったが、中高年男性も結構多かった。)
一点の曇りも無き純真さで描かれる、旧友との男らしき友情に、彼らが知っている生活人としての寂しさに、その爽やかさに心引かれ、ひっそりと涙する、そんな好篇。
ところで、わが旧友たちは今頃、何をしているのだろうか・・・?
以上。
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- 2006/08/20(日) 07:23:11|
- 劇場用映画
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