政、追記。
実は、な・・・
こないだのPFF企画で、まだ書いてなかった映画が1本、あったんだよ。
あんまり、とんでもない<映画>なんで、どう書いていいのかわからなかったんだ。本当言うと、今でもよく、わからない・・・。
衣笠貞之助監督、「狂った一頁」。
1926年製作、35ミリ、59分・白黒・サイレント。
脚本が作家・川端康成。
撮影・杉山公平。撮影助手は円谷英一、後の英二。
出演・井上正夫、中川芳江、飯島綾子、関操、南栄子。
自主制作作品。
これ、「バーバー吉野」の荻上直子監督がPFFの特集上映向けに選んだ邦画の1本、なんだよ。
アメリカ留学時代に学校で見せられたんだって。
戦後になって、フィルムが監督の家の土蔵から見つかって、70年代にサイケデリック?な音楽付けたバージョンなんだけど。
初めて観た目にゃ、勿論、新作と同じさ。
先に、舞台が戦前の精神病院で、監視人の男とその娘の結婚をめぐる世間との葛藤がからんで、っていう筋だって説明された。確かに事前説明が無いとちょっと、設定がわかりにくい映画だけど。
これがまあ、信じられないほどスピーディーで、幻想シーン満載で、踊り子のシーンとか、福引のシーンとか、雷鳴、暴動、とにかく激しくて、目まぐるしいシーンのつるべ打ち。
一つ一つのイメージに力がみなぎってる上に、つながりが緩急自在。ここぞという所でノンストップ、細かすぎる位カット、カットの連続で、勢い任せにどんどん驀進する。
すごく哀しい話のはずなのに、全員で御神輿、ワッショイ、ワッショイ担いでるみたいな、エネルギッシュな映画。
圧倒されたね。これぞ、文字通りの、モーション・ピクチャー。
これならサイケな音楽がバッチシ合ってるのも、そりゃ当然。
これ観ると、映画のすごさ、面白さの原点って、本来はこういうのじゃなかったかい?って思えてくる。
今撮ってる監督が観ると、もっと参考になるんじゃないだろうか?ってな。
名古屋と福岡のPFFでも特別上映するそうだけど、あれ、絶対観といたほうがいいぜ。損はしない。
それと観た後、福引に行きたくなる事、請け合いだ・・・!
そんじゃ、又な!
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- 2006/07/28(金) 22:34:07|
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主水日記。
火曜までの長い梅雨が、水曜からは嘘のように、あがった。
あまりにも急激に、暑くなって・・・
日中はちょっと外へ用事で出るのも、砂漠の民の大遠征。
ああ、アラブかサハラかロレンスか、アレキサンダー、ハカイダー・・・。
木曜、朝よりバテて、ついに、体調ダウン。
夕刻まで、臨時休業したのだった。無念。
(下北サンデーズなら「未熟!」だな・・・の声)
松田彰監督の「お散歩」「冬の幽霊」レイトショーへは水曜、どうにかこうにか、遠征した。
この夜のトークゲストは、女池充監督。
十数年前にピンク映画の現場で旧知の仲、久々の再会、という両監督。世間は意外に狭い。
司会はP-kraftの芝池秀子嬢。
20~30代男女中心、20人以上来場。まあ、いいほうだろう。
既にとあるサイトにても、映画美学校イベントで初公開時に語った2作品だが。
早朝の男女散策を通して、飯野歩キャメラマン流のフェイク・ドキュメンタリー・タッチ、かつファンデーションの乗ったCMのごとく明るいつるつるの画面の中で、男女の心のすれ違いがきわめてあからさまに描かれる「お散歩」。
死せる男性と現世の女性2人の<自然な>再会とつかの間の心の交流、男性の姿が見えない2人の人物とのすれ違いとジレンマを、あくまでもドラマ調の<日常生活>的地平とオレンジ色の陽光をベースに、状況の喜劇性をも含みもたせて描いた「冬の幽霊」。
同じ監督、同じ主演女優で、男女の想いのすれ違いととりあえずの和解努力、というほぼ同じ方向性とテーマを描いた映画でありながら、なぜこれほどに作風も印象も違うのだろうか。
どちらかというと「冬の幽霊」のほうがより小生のお好み、と初見時に思ったし、今でもその印象は変わっていない。
小生が男性ゆえ、というのも無論あるだろうが。
「餓鬼の季節」や「鍋の中」、「夢の祭」のぐにゃぐにゃした世界、じたばたどたばたと(心理的かつ肉体的に)暴走する人物像の闊歩する映画世界にいささかなりとも近い印象なのは、やはりというか、「冬の幽霊」、なのだった。
「お散歩」でも男が女を探して遮二無二自転車を疾走させるシーンにのみ、その強い暴走のエネルギーを感じ取れたのだが。
人間達の動作も心理と同時に、せきとめきれずについには暴走する、あの松田映画を、もう一度、観たい。
その出現する日は、又来るのだろうか?
以上。
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- 2006/07/28(金) 21:40:26|
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