政、追記。
実は、な・・・
こないだのPFF企画で、まだ書いてなかった映画が1本、あったんだよ。
あんまり、とんでもない<映画>なんで、どう書いていいのかわからなかったんだ。本当言うと、今でもよく、わからない・・・。
衣笠貞之助監督、「狂った一頁」。
1926年製作、35ミリ、59分・白黒・サイレント。
脚本が作家・川端康成。
撮影・杉山公平。撮影助手は円谷英一、後の英二。
出演・井上正夫、中川芳江、飯島綾子、関操、南栄子。
自主制作作品。
これ、「バーバー吉野」の荻上直子監督がPFFの特集上映向けに選んだ邦画の1本、なんだよ。
アメリカ留学時代に学校で見せられたんだって。
戦後になって、フィルムが監督の家の土蔵から見つかって、70年代にサイケデリック?な音楽付けたバージョンなんだけど。
初めて観た目にゃ、勿論、新作と同じさ。
先に、舞台が戦前の精神病院で、監視人の男とその娘の結婚をめぐる世間との葛藤がからんで、っていう筋だって説明された。確かに事前説明が無いとちょっと、設定がわかりにくい映画だけど。
これがまあ、信じられないほどスピーディーで、幻想シーン満載で、踊り子のシーンとか、福引のシーンとか、雷鳴、暴動、とにかく激しくて、目まぐるしいシーンのつるべ打ち。
一つ一つのイメージに力がみなぎってる上に、つながりが緩急自在。ここぞという所でノンストップ、細かすぎる位カット、カットの連続で、勢い任せにどんどん驀進する。
すごく哀しい話のはずなのに、全員で御神輿、ワッショイ、ワッショイ担いでるみたいな、エネルギッシュな映画。
圧倒されたね。これぞ、文字通りの、モーション・ピクチャー。
これならサイケな音楽がバッチシ合ってるのも、そりゃ当然。
これ観ると、映画のすごさ、面白さの原点って、本来はこういうのじゃなかったかい?って思えてくる。
今撮ってる監督が観ると、もっと参考になるんじゃないだろうか?ってな。
名古屋と福岡のPFFでも特別上映するそうだけど、あれ、絶対観といたほうがいいぜ。損はしない。
それと観た後、福引に行きたくなる事、請け合いだ・・・!
そんじゃ、又な!
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- 2006/07/28(金) 22:34:07|
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主水日記。
火曜までの長い梅雨が、水曜からは嘘のように、あがった。
あまりにも急激に、暑くなって・・・
日中はちょっと外へ用事で出るのも、砂漠の民の大遠征。
ああ、アラブかサハラかロレンスか、アレキサンダー、ハカイダー・・・。
木曜、朝よりバテて、ついに、体調ダウン。
夕刻まで、臨時休業したのだった。無念。
(下北サンデーズなら「未熟!」だな・・・の声)
松田彰監督の「お散歩」「冬の幽霊」レイトショーへは水曜、どうにかこうにか、遠征した。
この夜のトークゲストは、女池充監督。
十数年前にピンク映画の現場で旧知の仲、久々の再会、という両監督。世間は意外に狭い。
司会はP-kraftの芝池秀子嬢。
20~30代男女中心、20人以上来場。まあ、いいほうだろう。
既にとあるサイトにても、映画美学校イベントで初公開時に語った2作品だが。
早朝の男女散策を通して、飯野歩キャメラマン流のフェイク・ドキュメンタリー・タッチ、かつファンデーションの乗ったCMのごとく明るいつるつるの画面の中で、男女の心のすれ違いがきわめてあからさまに描かれる「お散歩」。
死せる男性と現世の女性2人の<自然な>再会とつかの間の心の交流、男性の姿が見えない2人の人物とのすれ違いとジレンマを、あくまでもドラマ調の<日常生活>的地平とオレンジ色の陽光をベースに、状況の喜劇性をも含みもたせて描いた「冬の幽霊」。
同じ監督、同じ主演女優で、男女の想いのすれ違いととりあえずの和解努力、というほぼ同じ方向性とテーマを描いた映画でありながら、なぜこれほどに作風も印象も違うのだろうか。
どちらかというと「冬の幽霊」のほうがより小生のお好み、と初見時に思ったし、今でもその印象は変わっていない。
小生が男性ゆえ、というのも無論あるだろうが。
「餓鬼の季節」や「鍋の中」、「夢の祭」のぐにゃぐにゃした世界、じたばたどたばたと(心理的かつ肉体的に)暴走する人物像の闊歩する映画世界にいささかなりとも近い印象なのは、やはりというか、「冬の幽霊」、なのだった。
「お散歩」でも男が女を探して遮二無二自転車を疾走させるシーンにのみ、その強い暴走のエネルギーを感じ取れたのだが。
人間達の動作も心理と同時に、せきとめきれずについには暴走する、あの松田映画を、もう一度、観たい。
その出現する日は、又来るのだろうか?
以上。
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- 2006/07/28(金) 21:40:26|
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政の、素朴な疑問。
PFFの月曜トークでも言ってたけど、森田芳光監督で「椿三十郎」リメイクするらしいな。元の脚本そのまま使って。
まあ、森田監督なら駄洒落みたいなユーモアは出せるだろうな。無理に力まなけりゃ、笑いどころはバッチリだろう。
でも・・・何で、主役予定が、織田裕二・・・?
「踊る」シリーズと黒澤プロつながり、かな。
でもさ、三船の役だぜ。むさい剣豪の役やるには若過ぎないか?
会場周辺でも女性客が「真田広之は?」「佐藤浩市は?」って。
大丈夫かなあ・・・?
あ、「運命じゃない人」の内田けんじ監督トーク付きの上映で又観て、品川心中の景とかで又笑っちゃったよ、「幕末太陽伝」。
もう筋知ってるのに、久しぶりにスクリーンで観ると何で、また笑っちゃうんだろう?フシギだな。
あれに、吉原帰りの若旦那が出てたけど、あの人、今、「仮面ライダーカブト」で英国系ぼんぼんライダー・サソードのじいや役なんだよな。
もしや、道楽三昧の経験が、今に生かされてる・・・?なんてな。
そうそう、大井町や文芸座でずっと見逃してた「獣人雪男」。
本多猪四郎監督の。
やっと通しで観たんだけどさ。川崎市民ミュージアムでつかまえて。
(すごい昔、TVか映画館で部分的に観たかも・・・?でも多分忘れてるし。)
あれ、部落の描写がひっかかってて、なかなか放映やDVD化、されないんだってな。
ちょっと大昔の、いくらなんでも現代じゃあ無いだろう、って村落だからなあ。黒沢明の時代劇の延長、みたいな感じで。
村長格がむやみに元気でカンシャク持ちのじー様で、村の掟破りしてる根岸明美の村女をめったやたらにどつくんだ。
それと、雪男狩りに来たお約束の悪役、興行師一味にどもりの男がいるから。あの辺なのかな。
本筋追う分にはどれも、そんなに気にならなかったけどな。
山が絵だったり、洞穴がデカかったり、宝田明が高い所で釣られててカラスが飛んでたり。あれ、結構大掛かりなんじゃないの?円谷特撮としては。
トラックとか、雪男が人投げる合成は、ちょっと笑ったけどな・・・。
それより、かんじんの雪男が出るまでが長いんで、じれったかったよ。
動きがいかにも高山の住人らしくて、いいね。早回しもある。
で、かわいい子どもがあんな目に遭って、雪男の気が動転して暴れるのはよく分かるよ。当然だからな。泣けるぜ・・・。
ヒロインにつきまとう理由も大体、察しがつくよ。
でもさ・・・
あの状況だったら、先にさらわれるのは、まず根岸明美のはずじゃねえの?<お約束>で狙われる河内桃子じゃなくって・・・。初めから近くに居たんだからさ。単に好みの問題か?
勿論、根岸が後半実質主役で、終盤までかっさらういい役だから、ああなったんだろうけど。宝田明、中盤ぜんぜん活躍しないし。
それと、物語がよくある括弧(かっこ)くくりだけど、あの記者さん、随分冷静に聞き書きしてるよね?だって、普通ならありえない奇妙な話を、初めて聞いてるんだぜ。そこら辺、どうなのかね?
そこらだけ、ちょっとひっかかったかな。
一応すがすがしく終わらせたのは、悪くないんだけどね・・・。
ま、それだけ。
思ってたよりも、揺さぶられるものは、あったな。
じゃ、又な!八丁堀。
- 2006/07/23(日) 17:19:50|
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ピン・ポン・パン・ポ~ン。
シネマ・インフォメーション・ステーションです。
今頃は、昨夜よりあちこちで・・・
映画関係者や観客の皆さんの交流が盛んに、執り行われていることでしょう。
現在進行形の上映企画は勿論、PFFやシネマ・アンジェリカ企画だけじゃない。
そのほんの一部を、ご紹介申し上げます。
松田彰監督の「お散歩」「冬の幽霊」は昨夜より、シネアートン下北沢、レイトショー(連日夜8時半より)公開中です。
「お散歩」って土日モーニングショーにすると、雰囲気的にいいかも?「冬の幽霊」は、他人との思いのすれ違いにちょっと悩んでる?人におススメの妙薬ですよ。まだ観てない方、チャンスです!
「メイド探偵」(未見)の吉行由美監督や、「エロティック煩悩ガール」(以前拝見)の山内洋子監督は、おそらく同じ下北沢の、<イxージリxxス>、背徳の?映画特集。
こちらは諸事情により、小生は来場を遠慮しております・・・
ごめんね、皆さん。
でもあの一癖ある?監督陣ラインアップなら、相当ものすごい作品が揃うはず。見応えは、ありそう・・・!清水の舞台、ディープでマッドな世界が期待できそうです。
シネマボカン、8月中に改装で一時イベント休み期間があるようです。
その前にちょっと、行きました。
22日(土)は山岸信行監督の<怪奇劇場>シリーズ。夏らしい。
十数人来場、大半再映作。軽い薄気味悪さの連鎖が、真情。
吸血鬼シリーズ3部作をようやく1・2・3の順に観て、ああ、こうつながってたのか、と納得。謎のマニアック組織がからむ2本目、サスペンス展開がコワい。3本目、某日活ロマン名作みたいな?場所でのラスト。
新作は2本。
真昼の団地でOL風女性が風音とシーツ一枚におびえるコンパクト・ショート・スリラー「突風」。
それと、力作短篇「死美人の恋」。
「乱歩地獄」や宮野組の「ミウチャンA」(過去同所にて上映)に似た設定。
女優2人と、二股サラリーマン男性役、思いきった捨て身の演技。
この男、一緒に住みたい女性像と、外で付き合いたい女性像が、一致しないらしい。困ったもんだ。
黒い服の主役女優、殆ど、人形のよう。目をむいて固まってる。でも明らかにTVは観てる。一瞬まばたきシーン、ドキッとなる。警察に届けず拾ってくる男も、妙な人。
コワさよりも泣ける方を、と求めるお客さんも居たが、スリラーなんだから。あのラストで、正解。
・・・と、こういったところでしょうか。
ところで。
最近各地の一部サイト群(複数)におかれましては、作品内容とは別次元の、各所関係者にまつわるものとおぼしき過度の白熱議論、ないしは裏情報?合戦が展開されるという、全国のシネマファンにとりましては大変、不快かつ痛ましい状況が見受けられる、との一部情報が伝わってきております。
(かつての不粋なる自らもしでかしたる、マナー違反ゆえの過ちと斬り合い果し合いの数々を、記憶しているだけに・・・オヨヨ・・・これは心の泣き声です、ヨロシク。)
まずは作品ありき、という立場にて賞味させていただいております観客サイドの皆さんにとりましては、そのようないわゆる<諸事情記述>は本来、まったく作品鑑賞自体には無関係な事であり、かつ健全なる鑑賞を妨げうる不粋な行為である、と現在では認識いたしておりますので。
あまり人様を脅かすような?文章を公開するのは、おそらく他人様から見ても不毛ですので、良識ある皆様はなるべくおやめくださいます様、おすすめ申し上げます。
(海賊版撲滅キャンペーンの、あの真っ黒い涙のPRが、浮かびますよね・・・。感動が、盗まれている・・・。)
と、いうわけで。
もっとみんなで楽しく、作品鑑賞や相互交流を致しましょう。
そうそう、<芸社IN札幌4>、無事終了おめでとうございます!
では以上、シネマ・インフォメーション・ステーションでした。
- 2006/07/23(日) 10:44:00|
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ここは、シネマ人達の隠れ家。
主水「やれやれ、やっと終わったな、PFF」
勇次「一昨日観客賞投票、済ませて来たんだろ?」
主水「<隼>だけ半分しか観れなかったが、後の作品は全部観れたからな」
鉄「20日19時半の<14才>の試写会だけ、時間が他所とバッティングなのと、もう当日券キャンセル待ち状態で、断念。あー、くやしい!」
主水「まあ、イキるな、イキるな。道玄坂のアンジェリカで夜の21時の部が、シネマ愚連隊の<極道忍法帖>だったからな。随分久しぶりに顔見知りのみんなに逢えて、すごくうれしかったよ。ずっと時間的にすれ違いが続いてたから。高橋監督や出演者の皆さんもすごく元気そうだったし」
鉄「妙にほっとするよな、檀家の集まりみたいで。男女混合で30人以上来てた。ああいうゲストトークがあると、やっぱりお客が入るよなあ」
政「鉄よ、俺だって、PFFの期間中はラピュタ阿佐ヶ谷のレイトショーや、ユーロスペースの山口百恵特集をいっぱい、ブッチするしかなかったんだぜ・・・」
秀「と、川崎の<戦隊>シリーズ特集も、だろ?」
政「よく、わかってるじゃねえかよ・・・!(笑う)」
秀「今頃は渋谷東急でPFFの表彰式、やってるんだろうな」
鉄「で、例によって表彰状渡した後に、最終審査員の文句たらたらとかが、な。フフフ・・・」
竜「ミンミンゼミの音声はもういい!とか、社会派にもっと力の入ったのを!とかな・・・」
主水「不作の年がこわいんだ、あれは・・・」
政「で、その後はプレス向けの記念撮影。あれが一番気持ちいいシーンだよな・・・」
主水「ああ、両の瞼(まぶた)に浮かぶようだぜ・・・」
勇次「今年は最終審査員に<女囚さそり>シリーズや権利関係がらみの問題作<映画監督って何だ!>撮ってる伊藤俊也監督が、入ってるんだよな。呼ぶほうもまあ、大胆というか・・・」
主水「どんな判断を下すか、ご注目、だな」
以下、主水日記。
作品短評。
(以前別所で観た、とおぼし作品もあるが、今回はそのまま記述する。)
Aプロ:
木村陽亮監督「黒森歌舞伎~僕が君に残したもの~」:
冒頭で、登場する数名の人物が想定された役を<演じ>ていることをばらしているが、全体がもろにドキュメンタリー・タッチのまま演出して撮っているので、どこからどこまでがそうなのか、さっぱ区別がつかない。これ、素直に感銘していいのか?やっぱりだまされているんだ、ちきしょー、と感じ取るべきなのか?で終始、迷わされてしまう。
村の歌舞伎上演シーンや練習風景が素直にすばらしいが、正にそれゆえに、この嘘役のバラしかたには疑問が残る。
TV番組だったら「やらせじゃないか!」「ばれなきゃいいのか!」で世間から非難の的だろう。(そういうのはもう、呆れるほどいっぱいあるから。)
フェイク・ドキュメンタリー含みの作品は、扱いが難儀だ。
どこかの懐の深い番組制作なら、解説のためなので、と多少は許すのかもしれないが・・・?
稲作映画の小川プロなら、どう扱うだろうか?
ドキュンタリー視聴の信頼性を揺るがす、問題作になってしまった。イエローカード!
(この問題、「コリン・マッケンジー」などともつながっているかも、の声)
金子直人監督「豚足の夜」:
ずいぶんとのっぺりした、シュール・ナンセンス・コメディ。(監督自身は、そうは思ってないようだが・・・?)
台詞まわし、意味なしの電話、カップそばの扱い方などに馬鹿馬鹿しい可笑しさがあり笑える。まずまず面白いが、画面が必殺か市川昆みたいに、やたら暗いのが気になる。ちょっと観づらいのが難点。
Bプロ:
市井昌秀監督「隼」:
後半の病室とハブラシの場面だけでも、ズタボロ男と同居彼女の関係が即座にわかり、味わいあり。xーxーを抱えての大暴走が大笑い!ドタバタ・コメディー、出来十分0K。最初から観たい!
甲斐博和監督「hanafusa」:
古い下宿の一室周辺だけで日本海側出身男と姉妹の3人のみ、小舞台芝居的進行。途中で喪服の意味がわかり、じんわり。そんな日に女と別れ話なんて!切ないぜ。手紙を読むところが特に舞台的。コンパクトにまとまり、余韻もいい。
Cプロ:
浅野晋康監督「Chachball With ニコル」:
CWニコルが出るのかと思った。カナダから出てきた青年の相手する兄、困惑する妹。正にハーブ・エデルマン。もろに寅さん映画の切なきドタバタ展開。多忙がって男あしらい?する妹の描写にリアリティありすぎ。ボール当たってからむ女性キャラ、快演。堅実な作りで泣き笑いさせるエンタメ・ドラマ。
楫野(かじの)裕監督「胸騒ぎを鎮めろ」:
六本木ロケ。のほほんとした主役青年、ゆるゆるなテンポ、ゆるゆるな初級ナンパ講座?に初デート、と思ってたら唐突にサスペンス展開に、やられた。えええ、それ反則だぜ!いいんだけど、イエローカードすれすれ。
Dプロ:
大泉彰彦監督「グラウンド・ゼロ」:
集団自殺サイトで知り合った人々。(またこれか!の声)
なぜか2人だけ生き残って、ダークでクールで皮肉な交流をする話。
あー、10代の頃なら、ハマったかもなあ、この話。でも今は・・・。迷惑な無差別薬物殺人計画、反対!
ワンシーン・ワンシーンが無駄に長めなのが欠点で、全体を長くしすぎ。会場での反応も悪かった・・・。ラスト、もしあのまま金払ってたら、ばからしくなっちゃうよなあ、と。それはないか・・・。
野沢拓臣監督「ダイバーのリズム」:
夏、台風の夜に海岸のプールで泳ぐ青年、対話する同級生らしき少女。合間に知人送迎会余興?の変なコントが挿入され、青年の気弱さを強調。彼は少女にある決意を語る。
とにかく主演俳優のブルブルふるえる動作が、活き活きした魅力をかもし出す。水中シーンとあいまってキャラ際立つ。彼の存在感に尽きる。コメディもいけそう?
Eプロ:
平田啓介監督「盲(めしい)の夢」:
ビル街の谷間、全然しゃべらないトイレ掃除青年a。仕事仲間からも「なんだかなあ・・・」な扱い、その知人達にボコボコにされたある夜、救急車を呼んでくれだ盲目の青年bとの出会いが。
bの住所の前まで車椅子で来て、まだ戸惑っているaのシーンが印象深い。サイレント芝居の効用を生かしきっている。
が、その次のあたりから急に、aとbの対話が始まり、あれっ、しゃべれるの?とちょっと驚く。bがaの車椅子を押して道を進みつつ、2人のぎこちない対話が続く。
こういう時はまず海に、と思いきや只の草むらに向かうので「海じゃないの?!」。客席、笑いのさざ波。
ピアノと笛?の演奏、音楽が後半に。切なくもさわやかな余韻をラストシーンに生む。
熊谷まどか監督「はっこう」:
というか、「ふはい」。
京都の夏、子どもと旦那の相手と家事に追われ、ノイローゼ気味の主婦の憂さはらしは、スーパーへの食品品質抗議のお手紙・・・。何も自分で腐らせんでも。もったいない。
蝿とフラメンコするシーンがナイス・アイデア、笑える。
本当に腐って見える(!)造形がグロく、異世界を垣間見せる。(またしても「スピーカーマン」の西村氏。)
初めと終わりの河川が暑苦しさを和らげているが、おじいさんのナレーションは最初だけで十分なり。
Fプロ:
中江和仁監督「singie」:
若い頃に別れた女が亡くなって、遺児たる血のつながった中学生少年を引き取った独身中年男の日常。
進路指導会に出たり、生活費補助の手続きを調べに行ったり、塾をさぼった息子に「もっとちゃんと話ししてくれ!」と叱ったり、喧嘩した息子のことで呼び出されて相手の母親の態度に怒ったり・・・。
にわか父親も大変だ、というお話。
フィルムっぽい画面が、男性的なドラマの味わいをより増す。
父、息子、その彼女、みんな人間的にはいい性格だな~。
家族って、必ずしも初めからそこにあるんじゃなくて、実は徐々に手探りで出来てゆくものなのだろう、と思わせる。
それなりに、しみじみする話だなあ・・・。
湯浅弘章監督「まばたき」:
動く油絵か水彩画、といった感じ。美術展を観るよう。
蚊帳(かや)、父親と小学生少女。
お産で入院しているらしい母親。
病院からふらりと出て、かつて妻の居た村に向かう老人。
パシられてCD万引きさせられ、ついには相手を刺す年上少年。
関西弁中心の田舎道と蓮の畑、はしゃぐ子ども達、のどかな風景。
そして、病院での小さな探検。
それらの間を巡る循環バスとバス停が、彼等の往来をつなぐ。
絵の具や血糊の赤色、連鎖し、ゆったりと循環するイメージ。
生と死が同じ地平でゆったりと進行し、すれ違う構成は正に絵画的で、理屈を越えて味わい深い。
ただ、ナースさん達が亡くなったばかりの人物の遺体を運びながら合コンの打ち合わせをするのは、いかがなものか。いくら<人生がかかってる>といっても・・・。ずっと世話して来た担当だったら、すぐにはとてもそんな気になれないはず。
そこだけひっかかったが、全般にいい出来。
Gプロ:
川原康臣監督「ニューヘアー」:
オール四国ロケ。バイト先の店長の<遺言>で車の2人旅。それと聾唖の女性1名。出演者は4人だけ。
まあ、普通の男女青春ロードムービー。
主役が眼鏡青年とバイト仲間の小柄な女の子で、組み合わせの雰囲気が気張らず、リラックスした旅路。長旅にありがちな軽いケンカもちょっとあるが、全般にのほほんとした印象。
殺伐とした作品とは別にこういうのがプログラム入りすると、何だかほっとさせられる。どぎつい力作ばかりが、いい映画ってわけじゃない。
児玉和土監督「ダム・ガール」:
同郷の男性と同居中のOL、彼女には極端な<節水>を強行する、ある訳があった・・・。
これまた、社会派か?と思わせるような立ち上がりを見せておいて、彼氏の手紙文伝達シーンのおかしさをきっかけに、どんどんそこから横方向へ外れてゆき、イカれたナンパ男、謎のカルト出現、とどんどんあらぬ方角へと話がそれてゆく。
何故?と考える間もなく徐々に奇妙にマッドな世界への扉を開く、反則技な展開(!)へと向かってゆく。
終盤の<水>のイメージに、圧倒される。
途中の展開、舵取りがイエローカードすれすれだが、ラストに免じてこれは許す!
平沢翔太監督「IMMEASURABLE MYSTIC BOOK」:
世界最後の秘境、自然環境を調査する探検隊、謎の不気味な生物、ドクターモローの島・・・といった驚異の光景を、CGクリエイチャーや特殊撮影で人工的に作り上げた、かなりの労作。
くにゃくにゃした人食い?生物達の造形がユニーク、アメフラシの群れのよう。鳥?が木の実の工作みたいで、可笑しい。
白黒フランス資料映像(もちろんフェイク)もよく出来ていて、笑わせる。
これはみるからにフェイク、とわかるので安心して?楽しめる。その分、罪がない。
Hプロ:
内藤隆嗣監督「MIDNIGHT PIGSKIN WOLF」:
地方で失業した男がひょんなことから池で金と黒いジャケットを発見、一念発起して上京するも都会のきつい洗礼を喰らい沈没、知り合ったバイト女性と暮らし始める、というだけの筋だが、細部にユーモラスな可笑しさが漂うのが良い。出てくる豚がその象徴。
ぱっとしない?主役男性がクールでハードボイルド小説風な台詞をつぶやき行動すると、とたんに不釣り合いとミもフタもなさゆえのばかばかしさが発生し、皆、笑う。
展開が中途半端に終わっているのが、惜しまれるが・・・。じつにもったいない。もう少し観たい!
西野芳子監督「.doc」:
他人の寂しさの隙間にすべり込む、出会い系サイトの100%なインチキ商売ぶりを暴露した、きっつい作品。
いやはや、まったく内情?はひどいもんだ!延長テクやポイント切れのシーンに苦笑。
面白がって顧客観察するバイト感覚女子大生やニヤニヤ冷笑気味に危機管理指導する男達に、ほとほと呆れ果て、引いた。
えぐい想定エロチャットする客達も、ちょっとついてゆけない・・・。
内容はすばらしいが、同時に印象が著しく不快で、レッドカード!
これ、ただちに全国の学校とPTAに無料配布すべし!といっとこう。
濱本敏治監督「光」:
これ、一度観てる気がする。(監督、小生を覚えているかな?)
夕日が綺麗。風景写真画集、の趣あり。
その発明より百十年余年、映画は、手法進化し、複雑になりすぎた・・・。
一度、皆、親子の想いを風景として、抽象的に写し取っただけの、この作品のシンプルな感銘に、立ち返ってみるべきじゃないのか・・・?と。感慨。
以上。
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- 2006/07/21(金) 18:58:20|
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主水日記。
あれ、というのは毎年恒例の・・・
PFF(ぴあフィルムフェスティバル)。
会場は昨年に引き続き現・渋谷東急。
かつてMOUNT POSITIONという名の自主映画イベントが、「19」の渡辺一志監督、「オートマミー」の中田監督、ワニガワブーツ・コンビ、他の人々により開かれたホールである。
当時は普通の貸しホールで、繁華街からはやや離れており、まさかその後東急文化会館が地下鉄工事で無くなって、映画館名がここに移されてくるなどとは、思ってもみなかった。
PFFアワードは、土曜・日曜でAプロ3本とBプロの「隼」の前半以外、全部観れた。
「隼」が後半のみになったのは、土曜昼間の中央線が信号故障で遅れ、13時45分には間にあわぬと判明、地下鉄にて迂回せざるを得なかった事情による。
(その往復道中、表参道にちょっとだけ寄ってみたが、山内監督とはニアミスになったようだ。深夜のショーはどうだったのだろうか?)
時間があれば後日Aプロも観ようか、と考えている。
混雑は、日曜の昼下がりからが超満員で、すごいことになっている。
珍事としては、ある上映の最初で音声出しの間違いが1回あったのと、別な上映中にコトリ、と音がして、座席よりスクリーン右側のPFF看板が落ちていた。
ゆえに、お詫びが出た。
(若手スタッフの皆さん、毎回何かとご苦労さまです・・・。いろいろとコツを学んでいってくださいね)
例年と比べ大きく変化したのは、お楽しみ、協力会社名・団体名の入ったPFFのOP映像。
今までは毎年1本だったのが、複数パターンに増えている!
4人の過去参加監督により、別々な作品に仕上がっている。
ポエム・ファンタジーと刑事まつりを、並べて観るような、箱入り菓子のおまけ、という味わい。
それと注目すべきは、投票用紙が、オール記名制(つまり無記名は無効票)になったこと。司会のアラキさんが念を押していた。
ということは、今まで無記名で投票していた人がかなり居たんだね?
観客席には撮った監督の知人・関係者が多いから、比率チェックが必要になったのだろうか?と。(もともと組織票の傾向があったからね、これは。来場するお客さんの比率からして仕方ないんだけれど・・・。)
あれって、やっぱり実名公表でないとダメなのだろうか?仮名でもいいのか?
かえって本当に気に入った作品に入れづらくならないかな、それって?
みんな自分の所の作品に入れてほしいわけだし。
来場者もスタッフも映画関連の人多いからね・・・うーむ。
もともとがまずそういった世界の人々同士にとっての、出会いの場であるわけだし。そこから新しい展開が、間違いなくいろいろと生まれてきたのだから。
もっとも、小生はフリーパス引換券買って記名した時点で、実質実名参加になるのだが。
(だんだん選挙広報みたいな気分になってきた・・・?)
周囲や知人には気兼ねなく、各人、心から一番おもしろかった作品に1票。
外部から来た観客にとっては本来、それだけのシンプルな事なんだけどね・・・。
ぜんぜん、こういうイベントを普段観たことがない人たちに投票させてみたら、いったいどんな結果になるのやら?と。
(このお話を延々していると、視聴率調査論みたいになってきて、きりが無くなるから、これくらいにしておく・・・。)
ロビーには、1970年代以降のPFF関連新聞記事や、8ミリ・16ミリ・35ミリフィルムの違い、などが展示されている。
今やデジタルカメラで、フィルムっぽい質感が出せるようになってきてるからなあ。もう初めからDVでフィルム撮影・編集をやらない世代が多いのだろう。時代は変わった。
80年前後の新聞・雑誌記事の中に、自主上映は知人と親戚の舞踊発表会の集まりみたいな会が多い、とか、難解な作品を掛けるよりも娯楽系でおもしろい作品を見せるほうがいいに決まってる、とか、もっと外の人たちがフラッと気軽に入りやすい環境を整えるべきだ、というものがあった。
昔も今も、そこら辺だけはあんまり、変わってないんじゃないかなあ・・・・?
大手映画企業も新人でおもしろい作品を撮れる監督の採用を、という過去記事の意見に関しては、とりあえず、件数としては大分、満たされてきている気はするのだが・・・。監督の数自体が相当、多いから。
それだけ裾野が広いジャンルともいえるし、逆に案外狭い世界だとも・・・。
この世界、映像権利のこととか、その後の展開がシビアだった人々のこととか、時折、いやでも耳にするし。
(現場のトラブルとかは本来、観客の映画鑑賞とは別次元のことで、ほんとうは不粋なことだ、と少しばかり憤ってもいる。来場する観客にとってはまず作品ありきで、好きも嫌いもまずそこからなのだ。)
PFFはもう役割を終えた、という更にシビアな意見を聞くことも、ままある。(なんでだよ~!)
だが・・・。
会場でのプロデューサー、監督、脚本家、スタッフ、出演者、関係者や観客、などなどの晴れやかな歓談状況を見るにつけ、そんなこたあないぜよ!機会を奪っちゃいかんぜよ!と断言出来る。
ありていにいって、人と人の出会いなくして、映画という子どもが生まれるか?育つか?ということ。
まあ、とんでもない子どもが、ぽこっ、と出てくることもあるが。
それでも作った人々には、多分、夜泣きをしてても、可愛い子ども。
彼等彼女等は皆、いわば映画の父母なのだ。
そこから後、公開・非公開も含めて、<展開>を育てるのには親にもまず、生んだ以上は責任がある、と小生はみる。どんな鬼っ子映画でも。
過保護もよくないだろうが、育児放棄が一番よくない。
だからとりあえず、やっぱりやる意味は、今も十分にあるフェスだと思っている。
少なくともそれだけの価値はある。PFFには。
作品短評は後刻予定。
以上。
- 2006/07/17(月) 07:29:16|
- インディーズムービー
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主水日記。
雷雨が降ったり、やんだり。
やっぱり変な天気の東京。
おそらく今頃は、
<映像温泉芸社>メンバーズは犬蔵監督とはるか札幌でイベントの準備中、
そして山内洋子監督は表参道で、<紫ベビードール>さん達とショーの準備中。
先にチケット予約していた恒例のあれが、あれが日程と重ならなければ・・・。
皆さん、どうしてますか?
とにかく、グッドラック!
その<あれ>については・・・
以下次号。
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- 2006/07/16(日) 00:46:11|
- インディーズムービー
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主水日記。
「三丁目の夕日」の項でも少し触れたが、小生は1970年代が少年~中高生時代であった。1960年代は幼児だった。
したがって、68年前後の新宿騒乱期など、リアルタイムでの記憶はまったく、ない。すべて後付けで映像を観た。
ただ、三億円強奪事件の時効は75年だったので、「こち亀」や「三丁目の夕日」「1・2のアッホ!」「フジ三太郎」などの連載漫画で三億円事件を扱った回は、リアルタイムで読んでいた。
ちなみに、「こち亀」では中川巡査の前に犯人?の親族が現れ、「三丁目の夕日」ではサラリーマンになっている関係者が事件回想、「1・2のアッホ!」では記憶喪失していた人物が突然犯行を再現?する、というものだった。
新聞漫画「フジ三太郎」での仮説は・・・あまりにも大胆過ぎるもので、ここにはあえて書かない。
と、ここまで書けば、今週、何を観たかはもうおわかりであろう。
「初恋」。
ありていに言ってしまえば、これは67・68・69年前後の新宿騒乱期は大体こんな空気だった、という状況と情感の再現ドラマ、である。
そこにもし初恋と世相がからんでいたら・・・という世界。
映画では石井輝雄版や「ピエタ」、TVでも幾度となく映像化されている。(たしか沢田研二版があったはず。)
あいにく、ビートたけし版SPを除くと、殆どが未見なのだが。
しかし、実行犯が未成年女性、という映画化はおそらく、初めてではないか。(原作小説も当人著?という・・・その真偽はともかく。)
全体にドラマの進行がゆるやかで、何ともじれったく感じる。
ところどころ、場面のつなぎ方もぶっきらぼうで、ある人物の死の状況などがやや曖昧になっており、よくわからない。
犯罪実録映画によくある情報過多を避けるためか、相当、言葉による説明の省略を行なっている、とみられる。
その分、詩の行間のごとくに、情感をじっくり味わわせる様に出来ている。
言葉少なに、常に怒った目をして見える主人公・みすず。
内心に抑えた情感が表情ににじみ出て、心憎いほど。
母親に捨てられ、親戚の家庭にも居場所がない少女が、その居場所を見つけたのが新宿ゴールデン街だったとは。
時おりしも、アングラ演劇と同棲組と、デモと機動隊と反権力の季節。
いろんな奴等が集まって、出会って、別れて。撲りあって。
それぞれに痛い思いもして。
やがて時代は移り変わり、一人また一人と去り、祭りの季節は終わってゆく・・・。
計画した人物にとっての三億円事件は、最後の反抗心が引き金になった、静かなる<祭り>だったのだろうか・・・?
そしてそれにつきあったみすずは、遅れてやってきて、皆から一人取り残された者、だったのだろうか?
・・・・という話に、なっているのだが。
まあ、あの時代背景なら、その動機はありえなくはないんだろうけど・・・
そっち方面じゃ無かったんじゃないか?
というのが、率直な感想だった。
ニセ白バイを使ったいわゆるスマートな?犯罪の裏に、果たしてそこまでの意味が含まれていたのだろうか?
政治や反権力とは別な、もっとありふれた理由(他所へ行きたい、とか)で起こって、その後犯人は海外逃亡、そっちで生活する内に金は要らなくなって、結局隠し場所へ放置したまま、といったところなのではないか。
映画としては、前述の不満のあるものの、普通にまあまあ、だったのだが。
あれから、既に38年以上。
真相はいまだに、わからない・・・。
多分、当事者以外の誰にも。
以上。
- 2006/07/14(金) 21:37:57|
- 劇場用映画
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北町警部補の、ぼやき。
暑い。連日。
ヒートアイランドの東京近辺。
昼間は30度の日々が続く。
今日の昼間など、知能も忍耐力も蒸発しそうな蒸し暑さだった。
文句を言うと「翔ぶがごとく」の西郷どんに「夏は、暑いのが、当たり前でごんす!!」などと叱られそうなのだが、でもやはり、暑いものは暑い。
おかげで、歩きながら朦朧(もうろう)とする中、妙な一句が浮かんだ。
< 頭突きジダン ジダンダ踏んで ジダン交渉 >
拙句、かな・・・。
さて、作家・石田衣良と堤幸彦監督のコンビ、例の肝煎りドラマが今夜、スタートする。脚本は別な人物(河原雅彦)だそうだが。主演は上戸彩。
前宣伝では劇団生活がテーマ、というからおそらく「俺たちの祭」の線だろう。
どれ、そのドラマ「下北サンデーズ」(テレビ朝日系)、観てみるとするか・・・。
何しろこのところ映画の捜査で(?)歩いてたからな、下北沢。
で、観終わった。
10分長い、第一話。
原宿から始まったのは、意外だった。新宿あたりからかと思っていた。
最初のドラマ・パロそのままなナレーションだけ、上戸彩の高い声じゃちょっと浮いて聞こえたのと、提供テロップが途中シーンにかかったりしているのがいまいち不安、ではあったが。
後は入学式、出会い、下北沢めぐりに小劇場体験に劇団員生活紹介に入団テストと、一気呵成に駒を進めた。
さすがにドラマだから展開が早い、早い。
山梨出身、主人公の進学先、千葉の大学で理科系。
秋葉原から各駅停車で、西千葉まで通学か・・・
自由が丘からだとかなり遠い。
なぜ東京か錦糸町から総武快速に乗らないのか?稲毛で各駅に乗り換えれば西千葉はすぐ次だ。
もっとも、各駅でずっと座っていけば十分読書か昼寝が出来るのだが。
(あれでなお早く着き過ぎって、主人公、余裕ありすぎ?の声)
さて、初めのうちは主役キャラが抑え目で、オリエンのシーンから転調させたのは、まあとりあえず、正解。
植木等の映画を観ている様だ。
教壇破壊するか?普通・・・!ものすごいぞ、サンデーズ。
特に目立つのがカンニング竹山。力演。
森三中?とのかけあいもピッタリ、期待できる。
(受験戦争くぐり抜けた学生のオリエンに、その芸名の人物登場とは、何たる皮肉・・・。)
両隣の男子学生2人、妙に力んだ自己完結ぶりが面白い。イケメン男が同じ台詞を言ったらものすごくキザに見えることだろう。
「反対方向乗ってる!」は、総武線の西側(東京寄り)と東側(千葉から銚子、または房総方面)の車内の違いを云ってるんだろうか?
確かに早朝だとああいう行商の人達が、よく乗る。大抵、千葉駅で乗換えてくるのだが。
(だから、千葉の解説はもういいって!の声)
下北沢の特色ある往来、他の街のそれと大分違うと主人公が感じるのは、自分が初めて来たときもそうだったので、何となくわかる。
(トリウッドも映して!の声・・・)
後半は小劇団公演にありがちなパターンを片っ端から、ハイスピードでぶちこんでいる。1回目でよくまあ、これだけ入れたものだ。
<上演前のご注意>シーンには大笑いした。
とてもよくわかる、あれは。
あんなに反応がすごくいい観客って、演じる側からすればほんとに、いいお客さんなんだろうな・・・。
欲を云えば、あのカルメンと電器釜の芝居、もう少し見せてほしかったところか。
劇中劇で今後何をやるか?が、このドラマの肝になりそうだ。何しろ芝居の話だから。
突っ込みどころも多い。
<ロハス>に笑う、下宿の看板、提供文字でよく見えないぞ!
それとオーディションの取り寄せ衣装、何でそれなんだ?わからん・・・等。
あそこのやりとりで、冒頭に人数を数えさせた意味がわかるのだ。なるほど、お見事。
重みのある、スタジオのオーナー(古田新太)。
劇団にハードに当たる役どころ。
いでたちが和風なので踊りの師匠に見える。
押さえはバッチリだ。
結論。
展開のあわただしさも多少感じるものの、コミカル・ドラマとしてはまずまず、快調なすべり出し。
最低、もう1話分は観よう。
北町警部補、本日の始末書、いや、覚え書き、以上。
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- 2006/07/13(木) 18:39:52|
- TV
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政の日記。
このところ、週末はシネマ人達に、会っていない。
その代わりに、昼間よく行っていたのは・・・
川崎市市民ミュージアム。(注1)
なぜ?結構遠いのに?
それは・・・あれがあるからさ!
<劇場版>「仮面ライダー」&「戦隊」シリーズ映画特集!!
ライダー35周年、戦隊30本目記念で。
500~600円で2~3本まとめて大画面で観れれば、いきなりDVD買うよりは安いし。
時間的に全部は無理だが、ま、仕方ない。
フィルム上映には本編TV放映当時の、他番組CMまで一緒に付いてるし。お得だな。(注2)
皆、「これシラナーイ!」「今やってないよね」「昔のだよー」って。
結構わかってるね、子どもって。
いや、おもしろかったね~。
親子連れで結構、にぎわってる。
イケメンファン女性や、通人層男性もちらほら。
特に子ども達の反応。
すごいね。ダイレクトで。
照明が消えてくると、それだけでもう「わー!」「まっくらだ~!」
大人じゃまず無いよな。
女の子は大体、子役がピンチのシーンで恐がってるな。
悪玉や怪人が子どもを誘拐してて、あわや、で助けが来るって話が多いから。それと悪女の涙目は嘘つき、ってのが多い。
男の子では反応のタイプが、2種類に分かれてる。
「これ、つまんない~」とか「つまんなくはないけど~」とかシビアな批評をぶつ子もいれば、「おお、すげえ!」「爆発、ど派手!」「ライダー強い!」と真っすぐに興奮する子もいる。
もう、双方とも遠慮なし。
でも、両方のタイプの子が一瞬、絶句しちゃったのは・・・
「仮面ライダーJ(ジェイ)」だった。
そりゃそうだろ、まさかでっかくなるとは・・・思ってなかったんだろうな。
俺は知ってたけどね。フッ。
あなどれないぜ、劇場版ライダー。
「アギト」で1号出たときは意外に静かだった。もう観た子が多くて知ってたんだろうな。
(封切り当時は、老いも若きも「あ!1号だ!」「 1号だ!」って大騒ぎだったよ)
そういうこっちは、というと。
「ライダーBLACK」の主役が突然、波止場で歌いだしたのに、ちょっと驚いた。小林旭みたいだ。
・・・え、村上弘明のスカイライダー映画?観たよ。
<銀河王>が逃げるとき・・・まぬけだった・・・
はるばる宇宙から来たのに、あれじゃな。ははは。
戦隊ヒロイン観てロビーで「昔風の美人よね~」って言ってるOL風女性達もいたぞ。81年頃だからな、「デンジマン」は。
多分いままでの中で、一番すごい反応だったのは「ダイナマン」の時。
モグラ怪人とイエローとワル幹部が穴掘りして、もぐらたたきごっこを始めた時だったな。他では通常のバトルしてる中で。
もう、皆、爆笑の渦だったよ。
ま、たまにはこういうのも、いいもんかな。
シネマ見物の原点に返る、って事で。
じゃ、諸君、ごきげんよう!
(注1)美術館の中に映像ホールがある。
普段は土曜・日曜に60・70年代のATG映画や韓国映画、名作ドキュメンタリーなど、もっぱら名画座的プログラムが多い。
なお、ロビーに松田彰監督「お散歩」のチラシを発見した。ここにもしっかりPRに・・・!
(注2)「グレートマジンガー」、村上版「仮面ライダー」、「ここは惑星0番地」、「ロボット8ちゃん」、「THEかぼちゃワイン」などなどの各局TV予告篇。劇場版の直後に付く。
放映当時の曜日・時刻も文字で付いていた。平日の夕方枠が多い。
思いっきり「毎週x曜日、夜x時xx分より放映中!」が場内に流れるのだ。
今、みんな有料放送枠だろうな・・・。
- 2006/07/11(火) 21:34:59|
- 特撮
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ゼルディア、通信。
セイザーX、先々週で終了。内容未確認。(うえ~ん!)
どうやら超新星シリーズ、続編は無い模様です。
翌週から赤ずきんのアニメ、って一体何なの・・・?
しばらく無いんでしょうか、東宝系特撮ドラマ。
リュウケンドーのあけぼの市は相変わらず、適度にのんきな日々です。
人間のマイナスエネルギーを狙う悪党一味が、町中のPCゲームしてる子供達を平行世界へ引き込み、リュウケンドーも・・・。
婦警も<一部>だけ移動・・・実にまぬけな眺めです。
次元の間(はざま)からリューケンドー達を助けに入った相棒刑事の変身銃、ようやく修復、強化してカムバック。
でも帰ってくるとき、ズボン脱げちゃった。
・・・やっぱり、この脱力感が、リュウケンドー・ワールド。
よくも悪くも。
ようやく戻ってきた、ボウケンジャー。
退治したはずの異次元怪人2人が、ガジャのせいで強化復活。
で、やっぱりというか、お祓い・封印青年の高岡が、第六の男・ボウケンシルバーに。これで劇場版予告とつながる。
でも、もともとトレジャーハンターではなくて、自らに<使命>を課した一匹狼、チーム入りはまだまだ先のようです。
レッドから受け取った変身ブレスはしっかり、持ってったけど。
その前の週、既に新仮面ライダーは登場していました。
その名は・・・ライダー・ガタック!!
バックル・ガタックゼクターからして既に、クワガタ。
カブトに対抗、そのまんまです。強そう。
でもパワーが強すぎて、上司田所さんも、加賀美クンも実験室でぶっ飛ばされて、怪我して入院。
じゃ誰が着けるの?と思ってたら・・・
結局ガタックゼクターが選んだのは・・・?
ずっとそれを望んでいた・・・加賀美クン!!やったぜ。
2代目ゼビー変身を外れて以来、ずっと彼なりに度胸をつけて成長してきてましたが。
ワームの巣になった工場内に閉じ込められた少年を助けるべく、怪我を押して生身で突入、棒術?で戦ったが、あえなく敗北・・・
これは、どう見ても、死んだか!?と思われたが・・・
ガタックゼクターが彼に装着、ついに変身!
もろに、青いクワガタです。
哀しい話だったけど、月を見ながら「俺は俺にしかなれない!!」の一言に・・・
そうだ加賀美!お前はそれでいいんだ!と共感でした。
こうなる事を予期していたかの様なお父上(勿論,本田博太郎)・・・
なぜかチェロを弾きつつ「モーツァルト・・・」。
この人、時々意味不明。ポスト山崎努?
一方ど貴族ライダー・サソード君。
スーパーもラーメンも知らない,お坊ちゃん青年。
クールなカブト君ですら、ずっこける程の世間知らず・・・!
(お付きのじいやは、いまだに役名の表示が、<じいや>。)
ワーム退治の協力要請に来たライダー・ゼビー(3代目)に,サソードは何をさせたか?
カブトの居る例の店で開いた自分のお誕生会で、ゼビーにお誕生日の歌を唄わせたのです!三角帽子被らせて。
機嫌をとるためにいやいや、しぶしぶ、ひきつった笑顔で必死に唄うゼビー。爆笑シーン。
カブトも「中間管理職はつらいな」と気の毒がるのだった・・・。
ちなみに、ひよりは、サソード(と、じいや)の要望により、メイド姿になってました。
しかも翌週、サソードのイギリス本家はとうに破産状態と判明。
ゼクトからの依頼も途切れ、やむなく、じいやがラーメン屋台の仕事に。
世界の宝にそんな事させられるか!と加賀美やひよりも呼んで屋台を手伝い、麺を打つカブト君。えらいぞ、えらいぞ。
あ、カブトゼクターまで麺を切ってる!(ほんとに、切ってる。)
ここでも又「僕が世界の頂点だ!」と客の列に割り込むサソード君。
<よい子>への道は遠い・・・。
そして。
ひよりの7年前の記憶がらみで再び出てきた疑問符。
あのとき居た、ベルトをした人物(子供らしい)は、天道クンなのか?
天道クンはいったいいつ頃から、カブトのベルトとゼクター(バックル)を持っているのか?
ライダーシステム自体は、7年前の時点で、もうあったのだろうか?
なぜベルトとゼクターの適合者が、ゼクト組織外部の者に多いのか?
もしかしたら、この夏の劇場版にいち早く、謎の解明が・・・?
前回よりCMでも加賀美クンが、ガタックに「変身!」
でも、あの鍛冶屋か芝刈りバサミみたいな武器は、ちょっといかがなものかと・・・?
そして今週からは映画版PRもスタート、レギュラーが並んで座る試写室に劇場版の人物?が解説に現れ、天道クン「ていうか、だれ?」。
TVと両方出てる皆さんは、撮影時の切り替えが大変でしょう・・・今年も。
ゼルディア通信、終わり。
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- 2006/07/10(月) 21:12:51|
- 特撮
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今、ちょっとだけ「新・科捜研の女」SPを観ていた。
まんま「アウトブレイク」なストーリーだったが、東映京都組にふさわしく祇園(ぎおん)祭りがらみのロケだった。
そして、科学捜査班にホースオルフェノク、刑事にライダーカリス、呉服屋の若旦那にクワガライジャーが・・・!
- 2006/07/06(木) 22:15:30|
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主水日記。
渋谷シネマ・アンジェリカ。
ショート・フィルム・フェスティバル。
A・B・E・Fプログラム。
そこには、ふとした日常の隙間からエアポケットのごとくストン、とすべり込んだ様な、ちょっとだけ奇妙な世界の数々が、広がっているのだった・・・。
以下、作品短評。
Aプロ:昭和
倉田ケンジ監督「緋音町怪絵巻」40分
奇妙な゛昭和 ゛の海辺の、とある田舎町。
ジュリーが女子に大人気、まではありがちだが。
ここの海辺にはなぜか水神様、と呼ばれる怪獣(ある生物・・・そのまんま)と自衛隊の戦闘が。
ミステリーサークルは出るし、せこく町民に物納をさせる便乗神主達は居るし、某解説者(呼んだのかよ!)は来るし。
オカルト現象だらけの町。
しかし、町の人々はとっくに、慣れっこになっていて・・・。
ドラマの主軸はもっぱら、地元の人気者らしき酒飲み女(夏生ゆうな)とスポーツ万能女子高生が次々と、交際目当ての男性達から猛列アタックを受けるエピソードの羅列、
そして女子高生は弓道場で憧れの人に出会い、というありふれた初恋物語にある。
ヒロイン達の悪びれない、屈託のない表情がいい。
すべての事はどこかのヨーロッパ映画にあるがごとく・・・
あくまでも<平穏なる日常>として淡々と、同時進行してゆく。
そうしたあまりにものどかすぎる光景が、すべからくユーモラスで、どこかいとおしい。
社会生活を営む町民にとっての日常とは案外、こうしたものなのかもしれない・・・?
廣田正興監督「代々木ブル-ス 最終回・地図とミサイル」63分
日テレ系アクションドラマ「傷だらけの天使」「俺たちは天使だ!」「探偵物語」あたりの線でイメージされた、とおぼしき私立探偵もの。
ただし、設定は平行世界で゛昭和80年゛。
国際情勢悪化で都市上空には常時、ミサイルが飛ぶ。
とんでもない<日常>なのが、緋音町と同様。いや、それ以上・・・。
そんなやばい状況などお構いなしに、はしゃぐ季節をやや過ぎかけた青春後期の探偵コンビ(鈴木一真・長谷川朝晴)、助手ガール(菜葉菜)、姿を消した逃がし屋の兄貴(永瀬正敏)、盲目の刺客男(吹越満)、女劇団員、劇団とつながる裏稼業グループ、などをめぐって狭い範囲での調査、失恋、攻防戦のドラマが入り乱れて展開する。
2人がところどころで、走る。部分的にだが画面に、運動性が宿る。
舞台劇にも向いた発想が、後半目立つ。
ヒロイン・菜葉菜の出番が後半激減して、やや不満。
既存の探偵ドラマ式の範疇にイメージがすっぽり、収まってしまいがちなのが難点だが、皮肉にもミサイルが狭い世界観に風穴を開ける。
アドバルーンを生かして使い、もうワン・リアクションできないか・・・?
主役コンビはよく走り、適度にうじゃじゃけて荒ぶり、まずまずユーモアと魅力を放つ。
それにしても、ある人物の、着地シーンが見当たらないのは、何故?
ワンカット程出した秋桜子、バッチリ!(その衣装できたか。)
Bプロ:楽園
梶田征則監督「地球の魅力」48分
オール・モノクロ。
すべての舞台となるアパートの部屋が・・・
狭い。薄暗い。
しかも、空間が次第にせばまってくる。
人物達がどんどん、狭い空間に追い込まれてゆく。
ものものしい防護服を着ている2人の来訪者達と住人一家4人の、たがいに遠慮しあったぎこちなさ、壁の向こうから常時響く工作機械の騒音、一家の主人(杉本哲太)のイライラした不機嫌顔、移動したテーブルの不安定ながたつき、などがいよいよ不安な空気をかもし出す。
要するに・・・息苦しい。
つまり、ここは放射能汚染が進行した未来の地球。
周囲の住民達が次々に避難所へと去り、政府の薦める火星への移住を始めている世界。
そんな世の中にやや不信感を抱く主人。
来訪者の住宅会社員達が一家に状況説明をしつつ、ガイガーカウンターで各部屋の汚染レベルを計る話が、えんえんと続く。
かんじんのマイホーム計画の話がなかなか始まらず、観ていて「まだなのか?!」とじらされる。
で、ようやく予算と土地の環境に配慮したモデルプランが発表され、一番積極的なはずの主人は条件的にやや不満顔、で、家族は・・・?
結局、よくあるマイホーム・パパの苦労話のパターンに落ち着くこじんまりさ加減が映画的空間イメージの広がりを妨げ、小さくまとまっているのが惜しい。
狭い空間の芝居だからこそ、地球儀と星座表から星空を想う、その外部イメージへの広がりを、もう少し垣間見せてほしかったのだが・・・。舞台劇と映画は違うのだから。
ラストは、皆、いい顔になったね・・・と。
岸本司監督「忘却の楽園」47分
沖縄らしき島で起こった、チンピラやくざと組員達にありがちらしき内輪もめ。これに謎の女(又、夏生ゆうな)と能天気な殺し屋斡旋業者がからむ。
男達が皆、アロハシャツで過ごし、青い海と砂浜とおばあと女を眺め、晴れた屋外で密談?し、村道を走り回っているのが南国らしい。
ほぼ全員、方言丸出し、随所で一気にしゃべりまくる。
その対話のけたたましさを含んだ疾走シーンの連なりが、作品全体に独特の軽快なリズムを形成する。
しかしながらそのリズムは大半、南の島ならではの暢気な風土性?の中に順次回収され、結局は呑み込まれてゆく・・・。
資金の持ち逃げ、ハメられて疑われ消されかけたチンピラ青年、裏切って悔いる友人、組織による処刑、逃亡、愛人殺し、逃走ドライブ、ゲイの気のある殺し屋達、ドンパチ・・・と、これまたありがちな展開。
結末も概ね、察しがつくものだが、切羽詰った逃走劇と銃撃戦のはずなのにもかかわらず、奇妙なのどかさ、時間感覚の余裕が全体に流れ、本土が舞台の<一般的>緊迫の抗争劇とはやや違った味わいが認められる・・・。
街中、というよりよろずや広場でのど派手なドンパチだけが、「ヒート」みたいで、やたらに力が入っていた。
青春&ハードボイルド・アクション志向の映画でありながら、同時に反アクション方向へもうながされる、という不思議にねじれた印象の作品。
Eプロ:異色
小沢和史監督「僕は一日で駄目になる」27分
これ、以前観たかも知れない。
今回の特集で多分最も、のどかな作品。
茶畑の多い故郷に帰ってきた、自称アーティスト青年。
頭がベートーベンみたいだ。
都会で売れてないらしく、池の前で舞台挨拶の真似などしている。
彼が実家周辺を徘徊し、赤いマフラーをした自称<ネパールの喫茶店帰り>の女性と暫時語らい、父母と漫才めいた対話をし、庭の大きな石を動かそうとする、というだけの、それこそのほほん茶とした味わいの1本。
とことん何も無い。アクションすら無い。
わずかに自転車の警官を女性が倒してしまい、青年が逃げよう、と言う場面のみがアクションの兆しにも見えるものの、状況があまりにも小規模なため、観ながら苦笑する他ない。
母親とマフラー女性のキャラが、ちょっとユーモラスなり。
あとは・・・岩山と、石。
ささやかなる散策。風景画。
そういう映画である。
藤井徹監督「イッテ!」30分
取立て屋の男達と将棋会館の店主親娘、助っ人つきの将棋指しで権利書を賭けて、どん詰まりの勝負!
が、かんじんの人物が現れない・・・
「月下の棋士」そのままに、武蔵と小次郎の世界。
ただし、全体にコントそのものの・・・展開。
佐藤隆太&遠藤憲一、火がついたら止まらない。嵐を呼ぶ男達。
まあ、そこそこ楽しめます。たとえ将棋がよくわからなくても。
いちいち隣に居る人の真似をする山本政志(注1)が可笑しくて、大笑い。ぼそぼそとつぶやき独自な存在感。
醒めてるようでも勝負にやきもきするヒロイン・菜葉菜を覚えておこう。
なお、この映画には一瞬、山内洋子監督の姿が・・・!
高橋亨監督「極道忍法帖」30分
待ってました!ようやく公開に。あなめでたや。
Vシネ派とシネマ愚連隊メンバーズのコラボ。(注2)
江原修、小沢和義、成瀬正孝、菅田俊・・・。
面子が見るからに、もろ広島極道映画色。すげー。
森の中、いきなり宮川ひろみ登場、くの一と覆面忍者達が派手に斬り合う!
老いたる組長の跡目をめぐり、大幹部の一人がしびれを切らし、今や内紛・クーデター寸前状態の、とある裏組織。
そこに属する中堅幹部氏、下克上作戦やる気まんまん、イケイケ状態の手下達とともに車を転がしていたが・・・。
唐突に、森の中で一同、日常の延長のごとくタイムスリップ、くの一(またしても、夏生ゆうな)を追い詰める忍者合戦に遭遇。(あまりにもあっさり時空移動するので、ちょっと笑う。)
たちまち乱戦、血まみれ、死者続出。
なんじゃこりゃ~!なぜじゃ!どうしてじゃ!(間勘平談)
どうやらこちらの世界でも、壮絶なる裏切りと内紛が起きている模様なのだ。
他人事ではないものを感じ取った、男達の運命と、生き残った者の決断は・・・。
敵側忍者(小沢和義)達のけばけばしく荒ぶる有様、容赦なく、猛烈。
星野佳世のくの一が気の毒に見えるほど、やばい。
身軽な赤星忍者、目立つ。二段アタックに笑う。
(それ、TVアニメ・ムテキングのタコベーダー兄弟も、似た技やってたよ・・・の声。)(注3)
上本さん、「餓鬼ハンター」に続き、またしても・・・性(さが)だねえ。
愚連隊らしき血生臭さとアクション、荒唐無稽な技と武器(!)
カッコつけてた兄ちゃんさえも途中から呆然、たじたじに。
その落差キャラがいかにも、極道の男らしい、というべきか・・・?
ラスト、意外にあっさり収束。<予感>がほしい。やろうぜ、もう1ラウンド!(おいおい・・・)
今回の8本中で一番すっきりと面白いのは、まず、これだろう。必見。
Fプロ:部屋
笹木影人監督「隣人観察日記」30分
文字通り、隣は何をする人ぞ、という話。
とある朝のアパート。
変に派手なキラキラ服を着るスキンへッドのお隣りさんa。
その隣人を観察し日記につけるだけのために仕事も辞めて部屋にこもり耳をそばだてる暇人男b。
そのbを訪ねて入ってきた友人cと、婚約者女性d(またも菜葉菜)。
そこへ別な部屋に住む隣人eも入室。
やがて、不気味な悲鳴がaの部屋から。
あわててお隣を呼び出すと、まるで違う人物fが出て応対。
犯罪の気配?を嗅ぎとった一同はおびえ、b・c・dは警察に知らせようと言い出すが、eがあるワガママな理由で反対する。
そこへ更に,別な部屋に住む人物gが乱入しようとし・・・。
見ていて「勿体つけずに、なぜすぐ通報しない!!」とじれったくなる。というより呆れ果てる。事態を一番悪化させたのは明らかに、e。
大勢がいっぺんに、怪しい隣人と応対しのぞきこむシーンが異様で、ひきつった笑い顔が可笑しい。後には恐怖が・・・。
都会における住人たちの相互無関心・無理解をスケッチし、少しだけ拡大した印象。ま、そんなもんでしょ、という感じか。
大嶋拓監督「いくつもの、ひとりの朝」40分
女子大生・真奈美(清水美那)。
母、妹と3人住まい。
リストラ後に家を出た父(郷田ほづみ)とは別居中。
戻る気はあるのか、ないのか。
つきあっていた大学の教授らしき年上男とも、最近は微妙な仲の真奈美。
ある日、大学で同級生の青年を誘って、温泉旅行がてら父の現住所を訪ねてみると、同居女性は・・・。
男達を振り回してきた女子大生が、父の言動を通じて己の生き方を見つめ直す話。
なんだかんだ云って、ファザコンから自立したかったのかも・・・?
普通のTVドラマ・スペシャル向け。
佐藤信介監督「死亡時刻」30分
(これも、どこかで観た様な・・・?)
人妻、間男、巨漢の夫、別の女性、の4人しか登場しないサスペンス。
人妻のおびえ方が、只事ではではないから、成立する。
ただでさえ閉所の上に全編、ピンと張り詰めた空気に満ちていて、息苦しい。肩がこるほど。
凶器でゴツン、は見るからに・・・痛そうだ。
科捜研の女にかかれば、すぐばれそうな証拠隠滅作戦に苦笑。
だが。
ラストの一言。
あれで、すべてがあほらしくなってしまった・・・。
いいのか、それで?
自業自得とはいえ、お気の毒な間男であった。マル。
以上。
(注1)「ロビンソンの庭」や「てなもんやコネクション」の山本政志監督。近年は舞台で悪役組長を演ずるなど、俳優づいている。「ゲルマニウムの夜」にも出演。
(注2)われ、一緒にやらんかいのう?てことですね。
(注3)あっちでは3段アタック。ただしすぐ破られた。
*なにげに、この回でブログ開設1周年!でしたよ。
皆様、今後ともよろしく、です。
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- 2006/07/04(火) 21:53:30|
- 劇場用映画
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たった今,大ショックなニュ-スが。
いや、中田引退ではなく・・・(よくもったよ)
ウxトラマxコスxス俳優逮捕でも、なく。(まだひきずってるよ)
秋の新宿名物・東京ファンタスティック映画祭が、資金難で休止になってしまいました。
先程、映画祭HPにて実行委員会、いとうせいこう氏、および大場しょう太氏のメッセ-ジを確認致しました。
絶句。
残念、の一言ではとても、片付けられないです・・・・・。
参加観客として、浴してきた恩恵の記憶が、あまりにも溢れ返っていて。
心意気と愛情がある限り、といういとう氏、メンテナンスの期間、という大場氏の言葉を胸に、しばし復活の時を、待ちましょう・・・。
*で、秋には同じ新宿ミラノで、別なシネマイベントが入るみたいですね・・・?
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- 2006/07/04(火) 00:00:32|
- 映画(全般)
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今回は、<週間(理想)・自主映画ニュース>という風に綴ってみる。
では、今週の見出し。
1・テアトル新宿「ヨコハマメリー」レイトショー公開終了(6/30)
上映前スペシャルトークゲストにびっくり!だった。
団鬼六氏(作家)&清水女史(夜のカウンセラー)。
最強だ。
団夫人も袖で同席。
和服着流しの団氏「メリーさんにはよく狙われて、早走りで付いて来られた」
洋装の清水女史「好みだったんですよ・・・」
団氏「好みの女じゃないから、毎回、逃げてた。白塗りの幽霊みたいで、ちょっとこわかった。でもテクニシャンだから、(職業上)人気はあったよね」
清水女史「あの人で私が撮ってた映画、現場のトラブルでぽしゃったんです・・・」
団氏「ヨコハマ・伊勢崎町は、戦後の雰囲気がまだ残ってた街だから、あの人があの姿で居れたんだ。東京なら捕まってるよ」
清水女史「恋した一人の人を想いながら、ずっと暮らしてきた人。女としては、寂しかったんだろうと・・・」
この後、団夫人(やはり和服)より中村監督に花束授与。
「まだ通しでは観ていないんだ」という団先生と共に、劇場に残って観てゆかれたのだった。
この場に居合わせたのは、一観客として、何ともフシギな気分だった・・・。
本編は、<メリーさん伝説>を追いつつ、戦後のヨコハマという街の風景、移り変わりを誠実に示してゆく。
<映画>としては、舞台演出家の人が<オフィーリア>の芝居を解説する動作に、一瞬、はっとなった。
観た後、観客の女性達は出口階段の写真展示を見ながら口々に、「すっぴんメイクの方が美人だよねー!」と連発。
正直、小生もそう感じるのだが・・・。
本編中でインタビューされた方々がおっしゃられた通り、往来や日常では殆ど過去をしゃべらなかった、というメリーさんのあの白塗りはいわば、ヨコハマの風景の中で<メリーさん>になるための<仮面>だったのだろう。
そしてコンサートの名物観客。やっぱりフシギな人だ。
2・初日挨拶盛況・メイン2作品も好調(7/1)
福島拓哉監督&P-kraftポレポレ東中野レイトショー
*迷いながらも、「乱歩地獄」映画監督達を撮る・・・!
メイキング・ドキュメンタリー「クロス・ザ・レンズ」
観客としては珍しく、いささか作り手サイドへの羨望をともないつつ、眺めていた。
(だって・・・邦画ファンにはたまらない取材だよ、これ)
狂気を描きつつもどこかクールな佐藤寿保監督の、現場の人らしい発言。
実相寺昭雄監督の、答えられない、と言う五つの質問。
当方との発想的ギャップが、興味深い。
劇中ではオブジェ?と化している緒川たまきが、凝った絵コンテを堪能しつつ、よく笑う。
・出演者挨拶、目にも鮮やか赤・黄・黒色衣装!
煉獄絵巻ドラマの「the point」・・・
女(里見瑤子)をかばい、余儀なく銃弾に倒れて死んだ青年が、死神に会うミニドラマ。
とにかく、富士山ロケで死神達の衣装がカラフルで、目立つ。
画面分割と独特の音楽性、リズムとテンポに乗せられて、運ばれてゆく。
*アWorker談:打ち上げで伝説の観客、と福島監督に紹介されて、照れくさかったです。光栄です。
3・呆然事態!渋谷アンジェリカの傑作短篇特集上映(7/2)
日曜昼間は各回男女5、6人の意外なる不入り
・「作品は皆おもしろいのに・・・!もったいないです」
「特に<イッテ!><GOKUNIN><代々木ブルース>の3本は、エンタメ路線の必見!秀作です。観なきゃ損」
「有料テレビには無い、画面の広がりとくつろぎがいい」
「ノーゲストならば土日は、何かPR工夫を!」
「松梨監督や<猫目小僧>組のPR積極性を見習うべし!」
(アWorker談)
・ 料金設定高い?安い?全7組プログラム前売り7000円券
各プロ3本立てで1500円、朝11時回は1200円
・ 集客はゲスト枠レイト集中?
・ まだまだ宣伝・PR不足?世間的知名度UP策が急務か
作品評は別項にて予定。
以上。
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- 2006/07/03(月) 07:53:57|
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