主水日記。
連休で非番に入ったとたん、日頃の疲れがどっと出た。
朝寝坊した。
花粉症もぶりかえした。
思い切って、昼間の映画を2日ほど、休んだ。
メールと各所掲示板・ブログの書込み、応答のみを数箇所まとめて行ない、後はぐっすりと昼寝した。
ようやくゆっくり、過ごせる。
今週まともに観た映画といえば、レイトショー公開の「闇打つ心臓」位のもの。
これが当たり、だった。
「闇打つ心臓」といえば、80年代PFF観客には懐かしさがこみあげる、長崎俊一監督8ミリ映画時代の名作。1982年公開。
若き日の内藤剛志と室井繁が演ずる夫婦・リンゴォと伊奈子。
自分達の子供をはずみで殺してしまい、逃亡中安アパートに潜伏、互いを責めたりセックスしたり、子供の泣き声の幻聴に悩まされたり、そんな一夜の話だった。
ささくれだった印象の8ミリ画面から、ひりひりと心の痛みがしみてくる秀作だった。
アパートの家主役は、諏訪太郎。
同じ82年に公開したATG映画「九月の冗談クラブバンド」も内藤剛志主演。伝説の暴走バイクライダーの<季節の終わり>とシラケ世代への交代を、青春映画としては渋い、内にこもったような陰影の画面に表現した。
それ以降では、長崎俊一監督といえば東宝映画・男闘呼組主演「ロックよ、静かに流れよ」が店長役・渡辺正行とともに印象深い。
「ユキがロックを棄てた夏」(1978)や「ハッピーストリート裏」(1979)は印象がきつく暗すぎて、あまり、好きではなかった。
「妖女の時代」や「ロマンス」のときは不発で、どうしたんだ?と心配になった。
あれから23年、長崎俊一監督、なぜ今頃、あの8ミリ映画のリメークを?といぶかったが、作品を観て納得した。
リンゴォと伊奈子、それぞれに中年相応の悩みを抱えての再会。
すぐ近所では今の20代逃亡カップル・透と有紀(本多章一・江口のりこ)が、多少状況は違うがかつての2人とよく似た隠れ家潜伏中。
男と女の台詞が以前のとは所々で入れ変わっていたり、アパートの管理人も女(水島かおり)だったり、新旧シーンを対比で映し出したりと、長崎監督の実験精神も垣間見える。
で、この劇と同時進行で、この新作自体の製作過程を見せるドキュメンタリー・タッチの劇も観れる、という三重構造。
内藤も本多も、お互いの役柄解釈に納得がゆききらず、こぜりあいが起きる・・・。
理由はとてもよくわかる。
二十数年を経てきた者の、実感として。
それがそのまま、ごく自然な感じで、本編のテーマや描写にもつながっていく。そこらが何とも、ニクい。
若くて愚かだった頃のリンゴォ達と一緒のことしてる、若い奴。
それを、中年になったリンゴォが「そんなんじゃ、だめだろ-が!」と怒って撲ろうとする、けど・・・
そういう映画なのだ。
たまたまなのだろうが、TBS系「ふぞろいの林檎(りんご)達」のパート4が、ちょうどそんな風に、若い2人と成長したかつての青年たちが出会うシリーズだった。
こういう映画に、いつか出会う日が来る。そんな気がずっと、していた。
気持ちよく、劇場を後にした。
こちらは、彼らとはまるで違って、
四畳半とも、逃亡とも、強烈なセックスとも縁が薄い、ペラペラな82年だったけど。
歳はとってみるもんだな。
二十数年生きてきて、よかったよ。
ありがとう、長崎監督。
以上。
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- 2006/05/05(金) 11:10:15|
- 劇場用映画
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