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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

伝説の騎士と、スケバルマン!

主水日記。


3/11(土)、池ノ上シネマボカン。
今回はイベントタイトルが、長い。
<濱田轟天プレゼンツ>
<映像温泉芸社inシネマボカンvol.15>
<宇宙からのメッセージ2006>
<ドラクル・ジュピトリア監督特集>。

整理券番号、16番。入場の列に並ぶ。
5分遅れ、18時50分より客入れ。
いつもの芸社ファンに加え、初登場のちょっとイケメン風、ドラクル・ジュピトリア(以下DJ。名前はドラキュラの父方面から、らしい)監督の知人・ファンらしき人々がどっと押し寄せ、30人以上がすし詰め、立ち見まで出た。
19時過ぎ、開始。

上映開始前に、例によって<イチゴちゃん>衣装姿の松梨智子監督「映画監督になる方法」PRあり。
合間の休憩時間に謎のインターネットTV組(女子プロレスラー?を含む)、アウトマンラボ組、などのイベントPRをはさんで、この夜上映された作品は・・・。

オープニング・DJ氏についての簡略プロフィール解説(ロッカー出身らしい)
DJ監督「幻想貴族」
同監督「幻想庭園」「幻想貴族外伝(仮)」および「幻想狩人・予告編」
伊勢田勝行監督「聖ジェルノン ハーケンK(カッツェ)」
同監督「スタックジェイド」(ただし時間の都合で一部のみ)
クロージング映像

・・・さて、これらのシリーズ、いったいどのように解説したらいいものやら?


連作「幻想」シリーズの基本構造は、どれも殆ど同じ。

まず、ドラクエ・RPGゲームのごとき、<妖精世界><帝国崩壊><妖魔復活><勇者>など、物語世界の設定、ストーリーが白文字で、小説そのままに延々と、述べられる。で、やっと一通り終わったな、と思ってたらしばらく置いてすぐ又、次の段落が延々・・・。
(場内、またかよー!の笑い声)
見せるというより、読ませる上映。文庫本のよう。
その繰り返しが何度か続いた後にようやく、民家や屋外の公園や往来で撮られた実写の軽い芝居シーンが、流れる。

宝塚歌劇団か「ベルサイユのばら」みたいな伝説の騎士?やドクロ・ウサギ・カエルの仮面を被った謎の男達、白馬に乗った王子様?スタイルの男性、妖魔ハンターらしきヒットマン、金髪のカツラをした子役、ハチマキをした赤いTシャツの青年らが次々と出てくる。
というか、大半のキャラが皆、唐突に出現理由もよくわからぬ内に現れては、画面を瞬間的に、無定見に横切っては、又去る。あるいはあっさりと消される。
同録の台詞が音量の小ささや風の音でさえぎられるために、よく理解できない箇所があるので、各キャラ登場シーンが余計に意味不明めく。

しかし衣装といい芝居といい、なんとも、薄い・・・。
悪役剣士の黒いマントは見るからに塩化ビニールで、安い。
それを補うべく、主役の王子や騎士たちはそれっぽい<所作>を強調する。これがおもしろい。
会食のシーンでは騎士制服の青年が延々、ワイングラスをぐるぐると回し、いやが上にも貴族らしさを強調してみせる。観ていたら誰でも覚える程、頻繁にやる。
ヒットマン風妖魔ハンターに狙われた人物が、肩をすくめて見せる仕草に笑う。様になり過ぎ。こういうのは似合う人でないと、絵にならない。

悪の幹部らしき中年女性が目立つマスクをして、ムチを振るう。
歴戦の勇者なのに、路上であっさり暗殺されてる剣士もいる。
ハンターが夜道で標的の王子に後ろから密着、シンクロ歩きしているのもおかしい。
「幻想貴族」で見せ場も無くわずかに出ただけの人物を主役にした「外伝」では、刺客にやられた荘年男性が死を前に延々、ヒーロー・フェニックスマン?に長ーく、3色戦士伝説の由来話を語りこむ。なかなかガクッ、とならない。(巻物にでも残しとけよ!の声)
赤の戦士がスカウトしたブルー戦士(Tシャツの色分けが判り易い)は芝居が比較的に長くあるのに、グリーン戦士の姿だけ負傷してフェニックスマンと歩み去る後ろ姿のみだったり、なんだかあちこちでおかしい。突っ込みどころだらけ。

ひとことで言えば、基礎工事の発想が普通の<映画>と逆。
もう、なんでもあり、の状態。
<完成度の高さ>を前提とするプロとは違うスタンスの自主映画ならではのおもしろさ、というのが確かにここにはある。
撮影・編集の一般的常識がことごとく、拒否されている。
正に出来は無茶苦茶なのだが、それゆえに同時におもしろい、ともいえる。現に、観客達は至極ご満悦で「あー、やってるねー」と笑いあいつつ楽しんでいた。
他所の上映会で発見した、という司会の芸社関係者達が「上級者向け」と呼んだのはあながち外れてない比喩。あんたこの映画どう思う?笑える度量あるか?と観客が試されるのである。
自主映画の表現自由度には<幅>がある、われわれの見知らぬ世界・宇宙がまだまだあるのだ、と、とりあえずはプラスにとっておこう。


これらを観た後に比べると、伊勢田監督が大学周辺とオール神戸ロケで撮り続けている手製ヒーローシリーズ・第15弾(らしい・・・あっぱれな持続力なり)「聖ジェルノン・・・」は意外にもわりと、正統派に見えてくる。変化球の後のストレート。
騎士風主役ヒーローとヒロイン姫や明治維新風剣士(またも!)が対話シーンでは明らかに別撮りで、苦労のあとがうかがえる。
若い二人が「おーい!」とスローモーションで走るなど、ご愛嬌。
味方の剣士が魔法で猫にされ、人間姿の主役と対話するシーンは明らかに主役が猫をあやしており、笑う。
映画ってやつは、つくづく、つなぎ方次第で面白くなるものだと再認識した。


時間が押したため、伊勢田アニメの新作「スタックジェイド」は第一話の途中までの部分公開となった。時間切れで場内「えー!!」の嵐。
これまた、西洋風ファンタジー剣士コンビと幼馴染のヒロインが登場。神戸効果?
今後の展開はどうなる?続きは次回の機会に・・・。


ああ、何だか風月堂行きたくなってきた。
以上。








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  1. 2006/03/12(日) 22:27:05|
  2. インディーズムービー
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事件の真相に迫る、スケバルマン!

主水日記。


3/9(木)。
非番。

暖かい。
やっと、春が来た。
啓蟄。春一番が吹く。

まずは花粉症対策。
今年も又、マスクと常備薬の世話になる。

春眠暁を覚えず。
とにかく、何かと、眠い。
日中も、夜も。

上映中でも、対話やトークの最中でも。
自分の意思や映画の内容とはまるで関係なく
唐突に、眠くなってしまう。
この時期はこれが、悩み。
あわててもう一回、同じ作品を見返すことさえある・・・。
大いなる眠り。

・・・したがって、たとえ上映中に寝入ったとしても、それは、決して作品のせいとは限らないことを、明記しておく。


でも、本当に眠くて困った映画が、残念ながら、ある。
渋谷の外れ、円山町に引っ越した新生・ユーロスペースでやっていた・・・
「ギミー・ヘブン」。

とにかく各シーンが、無駄に長くサスペンスを欠いたまま、つながれている。
ある人物の死のシーン、都電内のシーン、すべてが皆、長すぎる。
観ていてハサミを入れたくなる。編集マンでもないのに。
プロなら、カットつなぎを学んでくれ!とぼやいたのだった・・・。
<共感覚>による視界のズレとのぞきからくり商売、を題材にしたミステリー仕立てなのはユニークだが、人物・意匠描写が全般に無機質な上に、かんじんの筋が・・・。サスペンスが中盤で引っ張れず、緩んでしまった。
ラストは結構それらしく締めかけてるが。あれって何?再生?よくわからない。
これじゃ、役で得をしたのは宮崎あおいだけじゃないか。
折角の題材なのに勿体無い。誰か再編集してくれ!


これに比べれば、同じユーロスペースでやっていた「カミュなんて知らない」は、大学内中心のこじんまりした話しながら、すこぶるサスペンスフルで、面白い。

冒頭にほぼ、一気撮りの人物紹介。これで既に、全体の流れがキマッテル。
映像コースの一同がキャンパス内で(立教大学ロケ、というのがいかにもそれらしい)現代の<理由無き殺人>をテーマに映画を作ろうと準備する、その過程で起きる<ありがち>なすったもんだを、明白にフレンチ・ヌーベルバーグ調を意識的に行ないつつ、洋画・邦画のオマージュ描写や知識ネタを散りばめつつ、概ねゆったりと綴ってゆく。
若手監督をめぐるフリーすぎる恋模様・・・。しょうがねえやつだなー。天罰だよ、ありゃ。
助監督女子学生もあれ、結構きついぞ。山男にゃ。
え、この俳優(中泉英雄)が映画の代打主役でいいの?と最初は戸惑って観ていたが、後半で結構、やるやる。
吉川ひなのや黒木メイサの女性像はやや古風な感じがするが、彼女達なりの恋情ないしは欲望を表に出し、男達にぶつけてくる。監督も教授も、たじたじ。もろにフランス映画。
周囲の映画漬け学生達の対話はリアルだ。柳町光男監督、実際に先生として、多くの学生気質を眺めてきた賜物だろう。(これは、映画になるぞー!という視点も、おそらく含めて。)

おいおい、あの「十九歳の地図」の柳町光男監督がフレンチ・ラブロマンス調かよ・・・と最初は苦笑していたが。
どっこい、殺人心理解釈をめぐるハードな議論や再現・実験シーンなどに柳町節はしっかりと、マグマのごとく生きていて、噴出した。演出中、とわかっていても迫力ある場面にはゾクッ、とくる。
これは柳町にとっての「光の雨」なのだ。
画面の流れはゆったりしているが、サスペンスは終始ちゃんと持続しているのだ。こうでなくちゃいけない。
ラストの解釈?どっちかな・・・。どちらにもとれるように締めてるから。小生は幕は下りた、ということで。


さて、この明暗分けた2本と同時期に、同じユーロスペースでは・・・

はるか北欧の氷の国から来た特集上映、<アイスランド映画祭>が行なわれていた。
その為か、ロビーにはゲストらしき人々の姿もちらほら、見うけられた。
掲示資料によると氷河・火山・温泉が3点セットの島国。
人口数十万、アフリカなどからの移民も多いらしい。
国産映画は年に5本とか。映画人口を考えたら多いほうだろう。
ビョークの出た地としても知られている。

今回時間的に観れたのは、バルタザル・コルマークル監督のデビュー作「101レイキャビク」1本だった。
2000年、アイスランド・デンマーク・ノルウェー・フランス共同制作。実話が原作・・・だそうだ。
もしそうなら、まったく、とんでもねえ実話だ。

冒頭から冬の海が見える丘の上で、雪に埋まりかけた青年が出てくるので「なんだ、どうしたんだ?」と思わせる。
(場内のポスターもこのシーン。)
その訳とは・・・。

レイキャビク、島国アイスランドの首都。
ロンドンやパリほどの大都会ではないから、主人公の青年が週末にダンシング・バーやホームパーティーで顔を合わせるメンツは、大体決まっている。去年と代わり映えがしない。
セックス関連では周囲が皆<兄弟>、とナレーションでぼやく青年、ヒリーヌル君。半ばあきらめ、やけっぱち。
ナイトライフの乱交パーティーでは大麻を吸い、他人のセックスを冷やかし気味にからかい、うっぷん晴らしの毎週。
呑んだくれの父は離婚されて外。
自宅には購入局(そういう役場があるらしい。島国だから?)に勤める母親と2人暮らし、暇さえあればPCとにらめっこ。
自称<ひきこもり>だが、週末セックスする彼女がいるから、ちょっと違う気が・・・。
今やレズビアンとなった母の通うカルメン・ダンス教室には、母の恋人女性がいる。その恋人女性(青年より年上)が年中、家に出入りし、母といちゃちゃし、そのマイペースぶりに振り回され続ける青年を閉口させる。
(テーブルのすぐ横、ソファーの下に風呂桶があるのって、向こうの家じゃ普通なのか?あの家だけなのか?あそこ可笑しかった。)

だが、ひょんなことからそのレズ女性と寝てしまった青年。
本来の彼女との仲もこじれる。
ついにレズ女性に妊娠騒動が発生、彼女は青年の母親と2人で育てると言い出す。ドタバタの目に遭う青年。
万事が嫌になって、一時は凍死自殺すら試みるが・・・。(それで雪に埋まっていたのだ!)
で、母と女性は生まれた乳幼児を洗礼へ。
俺は父親で兄で、母は子供・兼・孫を持つのか・・・とつぶやく青年。(アア、こんがらがってきた。ややこしい!)

とまあ、こんなむちゃくちゃな<実話>がシニカル・コメディータッチで軽快にテンポよく、あくまでも明るく?前向きに展開する。
もう、随所で、つい吹き出してしまう。
ヘアーも男女ともノーカット。おおらかだなー、と妙に関心す。
他の作品も、観たかったなあ・・・。


以上。












  1. 2006/03/12(日) 10:46:57|
  2. 劇場用映画
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