ハードボイルド、<ビーグル‘75>。
違いがわかる男の、ゴールドブレンド。
(それ、たしか過去スレで・・・?の声)
ビーグルGメン所属、警部補・北町蘭四郎の報告。
11月23日水曜祝日、ほぼ快晴。
京都府来訪中の竹藪、いや、ブッシュ大統領や月曜火曜のラスプ、いや、プーチン大統領の来日警備には関わりも無き私は、この日、非番であった。(一部の橋が検問で連日渋滞しており、私は少々クサッていた。)
ぶらりとJR田町駅より徒歩。慶応義塾大学(これが公式名)の学園祭、通称<三田祭>へと向かったのだった。
ここの祭は早稲田祭と並んでゲストトークの数が多く、思わぬ大物や国際派ゲストが来たりする。
映画関係も結構多い。
これまでにも石井総互監督が指圧の短篇(押せば命の泉湧く、の人が主演。光ファイバーみたいな線がいっぱい映る作品)を解説上映したり、原将人監督がドキュメンタリー風新作の御披露目上映に来場したり、俳優の小林捻侍氏が質疑応答で「キイハンター」悪役時代の話をされたりしている。メニューがなかなかに充実しているのだ。
最終日とあって大変なる賑わい。足の踏み場も無い。
正面玄関にて赤きハッピの学生係員より案内パンフを購入。200円。
道案内のマップとしてはまずまず、すぐれもの。これが無いと立体的かつ広い校舎内で道に迷い、保護される可能性なきにしもあらず。無論私ではない。
正面校舎のトンネル状通路を抜け、中庭へ入る。パンフに目を通す。本日の目標とすべき人物達の手掛かりを発見す。
構内で定番・占いコーナーの繁盛等を暫時眺める。時代が変わっても人々の悩みは尽きずしっかりと続いている、これぞ国際的にも人類の宿命、というものなりや。
何故か構内のあちこちにモ0ゾー入りのポスター。愛知万博の余波、今だに色濃くあり。
小池百合子環境大臣、中川農林水産大臣の生トーク(贅沢すぎる・・・早稲田祭の5人女性議員と筑紫哲也クラスだ)は時間がバッティング。断念。別な列に並ぶ。
西校舎、階段を上り528大教室。
ここに午後2時の予定時刻より待つこと十数分、目標の人物達はついに現れたのだった。
<堤幸彦X石田衣良>生トーク。
といえば勘のいい方はおわかりだろう。
通称IWGP、こと「池袋ウエストゲートパーク」の監督&原作者コンビである。
石田氏は初めてだが「金田一少年の事件簿」「ケイゾク」「トリック」の堤監督は以前にも来場している、という。
2人は若き時代に地下鉄等でセメント工事の労働をしていた、という共通点があった。セメントの出っ張りを取る年配の人が居て、など思い出話に花が咲く。
表現しにくいのだが、主催の同大学シネマ研究会女子学生(ニューヨークの高校出身)が2人に笑顔で軽くケロッと突っ込み、2人がいちいち丁寧に応じるのがかなり笑わせる。たとえば・・・
石「中学位から翻訳本一日3冊読んでてねー。朝昼晩で」
堤「英語の本は?」
石「読んでないですよ。日本語」
堤「(司会に)そういえば君、高校ニューヨークだったよね」
司会「はい、英語で」
石「あ、遠い人だなー・・・」
といった感じ。ユーモアに満ちた会話が弾む。この司会者、正解。
いまやヒットメーカーで芸術家ですよね、という司会の問いには2人ともとんでもない、と首を振る。
(石)「締め切り遅れると印刷所に迷惑かけるし・・・恥ずかしくてとても、芸術家だなんていえない」
(堤)「これ外れたら、次はテレビショッピングやればいいや、という位の心構えでやってるからTV続けられてる」「でも仕事の(制作条件的)段取りに慣れすぎて逆にオリジナルが出せなくなる人もいる」「推理ドラマの筋は<お約束>で。作品のどこかに世間一般の推理ドラマとは何かちょっと、(一味)違う画面を入れたくなる。そこを観てもらえてるんでしょうね」
と、意外に謙虚な回答。
2人とも推理ドラマの謎解き自体の爽快感、という感覚よりは<次の展開>、とか細部の表現、のほうにより関心がある様子。
会場内からの自主映画関係者らしき学生の質問で「どうしたら、作ったり見せたりする人のネットワークを得られるんでしょうか?」と問われると・・・
(堤)「いや、自主映画は個人的なものだから。好きに撮れる自由がある」「映像業界の名のある人の所に(面会して)持っていって、観てください、って頼むのもいい。案外応じてくれる人もいる」「テレビはながらで観て、あ、ちょっといいな、という。映画は暗闇の映画館まで行ってよし、観るぞっていうもの。大分違うからね」「デビュー作、と自分で(心から)云える映画を、まだ撮っていない」
(石)「よく自分の作品がヒットするにはどういう人脈へ持ち込んだらいいですか?って訊かれるけど、そういう人に限って書いたものがあまり面白くないんだ・・・」「作家でやるなら、10年棒に振る覚悟すればいい。私はそうだった」
(堤)「ドラマも映画もどれがヒットするか、なんて現場でもわからない。何十本も撮った中で数本。これが絶対、というのはないです」
(石)「俺が俺が、っていう小説書くよりも、まず一度、個性を消して、消して、それでもなお自分だけの何かが残る、っていう位の文章から書いてみたほうがいい」「あるいは観察式に書く。客観視が大切だから」「本が売れるかどうかは、出してみないと。誰にもわからない」
・・・と、実際的でわかりやすい。
いずれも結構シビアな世界。生活自体がハードボイルド。
原作バブルの昨今TV・映画界だが、と前置きした2人、再びタッグを組み今度は、完全オリジナルで下北沢周辺が舞台の話をやる意向。
外部より来た女子学生の「下北沢が道路開発計画で今、ライブハウスなどがその問題で揺れてるんですが・・・」という話には「え、そうなの?」と驚く堤監督。名古屋出身で上京組、若い頃に居たのでなじみがある、とのこと。
東京都東部地域育ちの石田氏は割とクールで「街は常にいろんな無駄なエネルギーが集まってて、日々刻々と変わってゆく所。その変貌をずっと、見守ってゆきたいです」と語る。
長く住んでいると、やはりそういうものなのだろうか・・・。ややもすれば感傷的なのは聞いているこちら側なのか。
講演は16時過ぎにつつがなく終了したのだった。
以上、報告終わり。
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- 2005/11/27(日) 13:08:04|
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