壱の、日記。
土曜は半日、仕事。
昼飯後、都心部へ出る。
午後はまず、京橋のフィルムセンターに、行く。
<東京フィルメックス>連動企画。
前期必殺シリーズでも、その大胆かつ凝った手腕で知られた、
蔵原惟善監督、追悼企画。
以前観たものだが、久しぶりに観たくなって、
浅丘ルリ子主演、三島由紀夫の文芸映画、
「愛の渇き」を、鑑賞。
これ、白黒映画で。
しょっぱなから、カットつなぎが絶妙で、テンポがいいのだ。
すごくアクティブで、エネルギッシュ。
空撮から、急に食卓を天井からとらえるシーンに移ったり、
只者じゃない、蔵原流。
浅丘ルリ子の三男未亡人、美しく、
えらそうなくせに、どこか憎めない役。
気絶シーン、義父とのベッド・シーンと、
当時の日活映画の、露出度にしては?すこぶる色っぽい。
メイン・テーマの男女関係論は、山内明のギリシャ系学者が解説し、
ついには、一席ぶつ。
普通のよろめきドラマでは、女がどんどん進化して、
男が置いていかれるパターンが多いが、
この映画は、真逆。
彼女に、思い込みの心理爆走を誘発させる、
屋敷の下男が、一枚上手なのだ。
お手伝いとの騒動さえも、けろっとして、受け流す。
演じるは、なんと、石立鉄男!
もじゃもじゃ頭で、「気まぐれ天使」「水もれ甲介」などの、
コミカルTVドラマに主演する前に、
こ~んな役の時代が、あったとは・・・。
知らぬものは、まず、仰天するだろう。
カメラワークと編集の切れ味、美的感覚、
映画ファンなら必見の、傑作。
さて、夜18時前からは、新宿。
おりしも、三の酉(とり)で、花園神社は、
きらびやかな句までの飾りつけ、
商売繁盛の拍手とともに、にぎわっている。
そのすぐ後ろにある、新宿ゴールデン街劇場。
ここで、愉快な小舞台劇が、上演されていた。
<藤井紅葉プロデュース>、窪田あつこ脚本・演出、
「集合と解散の繰り返し」。
以前から、<シネマキャバレー>等で会っていた、
林勝己氏が、出演者の一人なのだ。
この夜が、楽日。
5本のコント芝居と、ゲストトーク。
時折たかれるスモークが、ちょっと怪しさを、そそる。
出演俳優・女優陣には、なんというか、
印象としてある種の、可愛らしさがあるのが、いい。
「ひょうきん族」と「冗談画報」を合わせた様な、
軽快なる面白さが、確かに、あった。
各パートの締めに、何かもう一つ、
ダメ押しで笑わせる、台詞とリアクションが、
さらっと入ると、さらに良いのだが。
1本目、
セラピスト病院らしき、一室の劇。
各人、消しゴム、非常口表示の走る人型、洗濯機・・・
などなどに、こだわりを持ちすぎて、
少々イカレてきてる、男女数名の、ナンセンス対話。
客席に向けて、やたらに腰を振る某女優が、笑いを誘う。
これぞ、奥の手?
2本目、男1人、女3人の道端劇。
一見能天気だが、すぐ死にたがる、
半ズボンのニート青年(少年?)に、
就職のアドバイスをする、3人の男女。
先のことがわからないのに、なぜ、働くの?という、
ニート君の問いかけには、ちと、身につまされるものが・・・。
オチが割と、普通だった。
3本目、男女4人で、電車内のコント。
OLが普通に、隣に立ってる乗客の、
先生と女子学生の会話を、聞いていたら・・・
あれ?先生、何やってんの?何で?
だんだん、シュールなウルトラQの世界へ、入ってゆくのです・・・。
何星人だって?メトロン?
乗客の皆様、車内では、
激しすぎる妄想は、やめましょう・・・。
4本目、
いわゆる、お見合いダンス・パーティー会場の、話。
いきなりのダンスシーンが、
チロリアン?みたいで、既に可笑しい。
モテモテ、高収入社長(林氏!)、
あまりのキザ振りに、皆、爆笑。
そして、途中から、
会場内の、すべてを仕切ったのは、
遊びつかれた?40代女性会員だった。
あまりのパワフルさに、一同も、
観客も、もう、たじたじ・・・・・。
笑わせるけど、こええ~。
助手女性は、さらに、一枚上手だった・・・?
悲喜劇とはまさに、この事だ・・・・?!
教訓。
いい女とは、女優だ・・・?
一時、トーク入る。
ダンス他演出の、窪田女史。初対面。
なるほど、喜劇がお好みらしい感じの、爆走トークで。
すこぶる、元気がいい。
深夜ラジオとか、合いそうな人だ。
ゲストは、とある映画・ビデオ監督、とだけ言っておく。
この方は、まあ、しゃべりよりも撮る人、なのだろう。
ラスト、5本目。
司会男女がのっけから、しょっちゅうせき込んでいて、
進行もバタバタ、がたがたの、
世界演劇コンペ・フェスティバル・リハーサル。
応募者・参加団体は少なく、
主催者側の、自画自賛色が強すぎるため、
参加者達は、呆れてしまう・・・・・。
主催者側チームの演者で、さっそうと出てきたのは、
またも、窪田女史。
ほとんど、この人に、
カラオケと、ギリシャ神話劇と、
パワフル・ダンスを、させるためのシーンで、
大いに、笑わせる。
結論。
企画者女優・藤井紅葉は、勿論、
困り顔の、よく似合う?役で、自ら、好演。
だが、この劇団、
最終兵器は、やはり・・・
窪田女史、その人、なのだった・・・。
前売り3000円、当日3200円。
この笑いで、元は十分、取れていたのだった。
以上。
- 2008/11/29(土) 22:42:02|
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錠の、日記。
木曜の、夕方。
この季節。
どこで上演されるのか、大体、知っているし。
展開されるパタ-ンは、既に大体、わかっている。
にもかかわらず、またしても・・・
・・・行って、しまったぜ。
水族館劇場。
また、はまっちまったよ。
あの、めくるめく、ゆがんだ迷宮世界に・・・。フッ。
3年前、独特の存在感を持っていた、
劇団中堅俳優・高明哲氏、逝去。
あれ以来の、大きな動きが、今年はあった。
常連女優・X嬢の、不在・・・。
案内のチラシやポスターから、
名前が消えているのを知ったときには、
何とも、寂しいものを感じた。
長年、この人の登場を観るために、
来ていた部分が大きかったのだ・・・。
それでもなお、
あの立体的な舞台装置と、演出の魅力には、
抗しがたいものがあるし、
今年は一体、どうするんだろう?と、
やっぱりあれこれと気になって、仕様が無い。
そして、またしても・・・
例年通り、観に来てしまった。
映画のキャメラと、トロッコのレールが、
今回のいわば、土台。
戦時中・戦後にかけての、炭鉱島を舞台に、映画が撮影されている。
時空を越える鍵は、2枚の鏡・・・。
舞台は地上に、あるいは地下の坑道にと流転し、
次第に虚実が混乱してゆき、
これは一体、映画の中か、外か?となる仕掛け。
千代女、風兄宇内ら、常連組の健在も、
勿論、喜ばしいのだが、
順次、抜擢されてきたとおぼしき、
若手メンバー達の、フレッシュな存在感も、
まず、大いに目立つこととなった。
特に、新人女優兼ナース役の、姫草ユリ、
やや硬さが残るものの、全体を支えきり、
まずまずの好演で、通した。
水族館劇場のニュースターには、ふさわしいだろう。
若き炭鉱夫達や、ボタ山青年役等の、
ユーモラスなキャラクターも、目立った。
そして、例のごとく、スペクタクルな、
あの立体的カタルシスが、心地よく、襲い来るのだった・・・。
以上。
- 2008/06/06(金) 00:37:03|
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主水日記。
今ひとつの、ミニイベントとは・・・
朗読会。
12/13(木)、19時半より。
西武池袋線・江古田駅近くの、
ミニスペース、<江古田フライング・ティーポット>。
映像・演劇集団P-kraftメンバーズより、
黒服衣装にて、ここに参集せし、男女7人衆。
戦前の童話誌<赤い鳥>より選んだ5作を、
合同ラジオ劇のごとく、演じながら、生の朗読劇にする試み。
同所にて3日間、行われる予定。
題して、
<LOGOS READING vol.1>、
泉常夫演出・構成、
「真剣童話」上演。
演技者、兼・黒の衣装担当に、
くがあすか、という人あり。
前座で、泉監督の「YES WAY OUT」他出演女優、
鈴木明日香嬢が、町田町蔵作品から数作を抜粋、読む。
(いよっ、ダブルあすか組!の声)
日常生活への不満、皮肉交じり、やがて凶行に至る青年像。
やけっぱちのような、殺伐とした、暴言にみちた文章が、
語り手の持つ味というのか、
時として、どこかユーモラスに、愉快痛快にすら聞こえてくるのが、
奇妙な味わいを、醸し出す。
あの、「食券買え!コラァ!!」が耳に、こびりつく・・・。
演奏会用の楽譜置きに、各人の読む原稿が置かれ、
伴奏のアコーデオン・タイムと、休憩時間をはさんで、
計5作の朗読劇が、上演された。
「まんが日本昔話」風な、お話が続く。
やはり、というか、
貧乏と金持ち、というテーマの話が、多い・・・。
<村の三人と、死神と森の壷>の話。
居酒屋で飲んだくれていた、3人の怠け者達。
そこへ、
山の死神のせいで、共通の知人が一人死んだ、との話が伝わり、
確かめに山へ入った3人は、彼の残したらしい壷を見つけるが、
これが、欲深い3人を、自滅へと追い込んだ・・・。
何となく、オチは読めていたが、
中央の女優、演じっぷりでカバー。ロレツが、上手。
<2体の地蔵>の話。
同じ村に、お地蔵様が2体、置かれた。
何の願いでもかなえるお地蔵様と、
めったに願いをかなえないお地蔵様。
一見、前者のほうが良さそうに思われ、お参りが盛んになるが、
高じて、村は、とんでもない事態に・・・。
ちょっと、こわい話。
<元猟師の富豪老人と、青年>の話。
行方知れずになった、子供の事を思い出しては嘆く老人のもとに、
毎年、ふらっと訪れる青年に、老人は・・・?
勝れる宝、子にしかめやも、という、ちょっといい話。
<幽霊機関車と、少年>の話。
因縁と、結末が・・・えぐい、あざとい、哀しすぎる・・・。
<不思議な鏡>の話。
そのまま落語になりそうな、愉快な作品で、締めに。
ありがたい・・・。
以上。
- 2007/12/14(金) 21:08:25|
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はぐれ仕事人・弐の日記。
珍しく、PR特別篇。
いや~、やっと土曜に行ったよ、<水族館劇場>公演。
いいねえ、やってきたねえ、今年も。
又、開演のこの時まで、生き延びてしまったのだ。
待ってた甲斐が、あったよ。
東京は文京区の、白山と千駄木の間っていやあ、
文豪達、ゆかりの地で。
そこにある<駒込大観音>の境内で、
毎回、テントみたいな特設舞台こしらえて、演ってるんだ。
お寺さん、よく協力してくれるよなあ。えらいぞ。
ためしに、今、行ってごらん、
ほんとうに、観音様のお堂の前に、立ってるから。
昭和レトロ調の、マカフシギな会場。
見世物小屋に、近い風で。
おせんにキャラメル、みたいな人が、卵とか売ってるし。
近所の子ども達もやってきて、中で見世物の数々を、喜んでるし。
土曜の5時位に、当日券(4000円)と整理券取りに行ったら、
もう140人位、来てた。
20代男女が多いが、中高年層まで結構いる。
7時の開始までには、200人は越してたよ。
しかも、入場前から、芝居はもうちゃんと、始まっているのだ!
だから少し早めに、行ったほうがいいな。
ふらっと行っても、席があれば観れるし。
客入れ作業も含めて、ちょっとかかるから、夜まで時間延びるかも。
休憩時間も、場内が混んでて、抜け出せないと思ったほうがいい。
でも、それだけの価値は、間違いなく有るぞ!と。
今回のお題は、終戦から闇市、戦後までのお話。
大人のドラマもあり。夢もあり。
昭和の森と、天と地と、火と水と。
生き残り兵士と、幻の女と、ロマンと。
人さらいと、死神ばあ様と、仮面の者達と。
鳥と、馬と、河童(芸達者、呆然!)と、牛乳屋(笑わす)と。
哀愁の女旅人・千代次と。叫ぶ女優・葉月蛍と。
皆、猛演。
舞台装置も、転換も、半端じゃない。
ああ、これ以上は、教えたくない。でも教えたい。
(どっちなんだ!の声)
これは正に、時空の河を遡る冒険、体験の旅。
迫力。
月曜の楽日まで、やってるぜ!
あと2回、6/3&6/4の19時。
四の五の云わず、その目でしかと、観よ!
以上。
- 2007/06/03(日) 10:20:18|
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