弐の、日記。
25日、土曜午後。
14時と19時、下北沢・シアター711。
劇団<超新星オカシネマ>舞台公演、
<夜の星空 三部作>。
と、いう劇団名でお分かりの通り、このメンバー、
大半が、<おかしな監督映画祭>の関係者である。
そして会場は、かつてのシネマ下北沢の内部を、小劇場に改造したもの。
通路がかなり変わり、
雛壇状の座席が、設置されていた・・・。
14時が、「小鳥の水浴」Aプロ、
(SATOMI&豊永伸一郎・渡辺世紀氏演出)&と、
「その後の風の又三郎」。
19時が、「小鳥の水浴」Bプロ、
(日高ゆりあ&かわさきひろゆき、かわさき氏演出)、
および、「銀河鉄道の夜の夜」。
ひとまず、全部観れたのは、幸運なり。
最近、別な「銀河鉄道の夜」舞台(桃井版)を観ていたこともあって、
演出の比較という意味でも、
なかなか面白い、舞台鑑賞であった。
同じNYの片隅を舞台にした、明らかに同じ台本が元の、
男女二人芝居「小鳥の水浴」でも、
Aプロ・Bプロでは、その雰囲気がまったく違う。
Aプロでは、
両者ともいささか、神経質そうに、自分史を語り倒し、
緊張感が、持続する。
ヒロインの自己暴走ぶり、インテリっぽい男性のイライラぶりは、
常に観る者に、精神的不安感を、つのらせてゆく。
観ていて、はらはらさせられる程。
劇中、ラジオで流す洋楽は、
寂しき夜をより強調する、ムードを醸し出す曲が、使われている。
静かなるダンス・シーンも含めて、
全体に、貧しさと孤独感から発生する、
哀しき事件、という印象が強くなる。
一方、Bプロでは、
まったく同じ話を、演じているのにもかかわらず、
マイペースだが、包容力もありそうな男性像と、
雨中の子犬?のような感じのヒロイン像が、
現れた時点で、雰囲気が、がらりと変わる。
とりあえず、ユーモラスな対話から入り、
互いを理解しようと、
徐々に、歩み寄ろうとしているように、見えてくる・・・。
ラジオの選曲も、ロック系の古典になっていて、
ダンス・シーンも、陽気さが、やや増している。
演出で、これほど変わってくるとは、思わなかった。
そこが、実に面白い。
同じ「銀河鉄道の夜」が原作の芝居でも、
広めの舞台で、セットを場面ごとに取り替えてゆく、
オール・ミュージカル仕立ての桃井版に対して、
小規模スペースのこちらでは、
教室の扉セットを、そのまま、列車の扉として連用。
主役の少年2人が、それっぽい女優なのは共通しているが、
小学校の先生は、男性から女性に、換えられている。
桃井版では、はつらつと座席周囲まで飛び回り、
大車輪で笑わせていたインディアンも、
超新星版では、東南アジアン?扮装なインディアンになり、
その登場は、ごく一瞬・・・だった。
また、前者では生真面目に、任務を遂行していた車掌(教師役が兼務)は、
後者では出番が増え、大きめに動き、
あわてんぼうで、コミカルな役になっている。
そして、「その後の風の又三郎」では、
幻のごとき、又三郎の出没をまじえながら、
原作者・宮澤賢治らしき小学校教師が、登場。
教師が、亡き妹の幽霊と、こわごわ、対話するドラマが、
小学生達と、その一人の母親が療養する、
本筋のドラマと、同時に進行。
徐々に両者が、融合してゆく。
映画などでもおなじみの、ど~どどどど~、が出るのが、うれしい。
鳥のカラス・・・いや、よだかが、
ワルノリしていて、ちょいと愉快、だった。
上演が、すべて終わってからも、表ではしばらくの間、
各出演者・ファンとのミニ交流、営業?などが、
和気あいあいと、続いていたのだった。
以上。
- 2009/07/26(日) 01:12:46|
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竜の、日記。
6月27日、土曜。
昼までの仕事が、終わった。
さすがに少し日差しが強いが、天気はいいので、
しばらくごぶさただった、下北沢へ。
ゆっくり、散歩して過ごすことにした。
チャンベビ・ライブのとき、来れなかったので。
シネマ下北沢、ほんとに看板が、劇場に変わってるな。
あれ、ラ・カメラの看板、無いな・・・?
バーのスペースに、なったのかな・・・?
・・・あ、角のグッズ屋が一軒、取り壊されてるよ・・・。
また、知らない新しい店が、出来てるね・・・。
街は、日々変わってゆく。
ここも、例外ではないようだ。
夕方、18時前より、北沢タウンホール。
宮澤賢治原作・音楽劇「銀河鉄道の夜」、舞台公演。
(「999」の、そのまた元祖だな・・・の声)
暴れん坊自主映画集団、<シネマ愚連隊>作品楽曲でもおなじみの、
桃井聖司氏が、脚本・音楽・演出を担当。
しかも、同隊・常連俳優の、佐藤ザンス氏が出演!するというので、
両方のブログを見てから、寄ってみた。
あの桃井音楽で、ジョバンニとカンパネルラの舞台を・・・。
どんな宮澤ワールドに、なるんだろう?
(「餓鬼ハンター」の曲、聴いてきちゃったよ・・・の声)
幸い、当日券があった。3500円。
こういう、時間が空いたときに、席があって、
フラッと寄れる芝居があるのは、ありがたい。
会場には、題材の事もあって、
親子連れや婦人層が、演劇関係者と並んで多い。
いや、思っていた以上に、叙情性があって、すがすがしい、
テンポよき進行の、声の通りも良い、マイルドなミュージカル。
クロスする照明、星空の衣装なども、なかなか楽しい。
いかに自分が普段、ギタギタした映画やドラマを、
一杯観ていたのかが、これで逆に、よくわかった・・・。
夜空の親友二人旅、どこまでも行く旅。
本当の幸せを、求める旅。
それは、ある寂しさをも、含みもっていて、
たとえその結末が、わかっていたとしても、
やっぱり、ほんの一時、夢紀行の気分になれるのは、確か。
鳥捕りとインディアン(同じ人がやってる)が、コミカルにはしゃぐあたりなど、
東海道中膝栗毛みたいな感じで、ついつい、笑ってしまった。
ザンス氏は、愚連隊出演時のビクビク、ハイテンジョン!役とは一転、
こちらでは、星の授業をする学校の先生、車掌などを、
大人の落ち着いたムードで、しっかりと好演していた。
(アンド、にぎやかしキラキラ・メンバーズ?等にも、いたような・・・?の声)
お客さんたちの反応も上々、
カーテンコール(カーテン無いけどね・・・)は、都合3回、行なわれた。
やっぱり、これがあると、気持ちがいい。
休憩をはさみ約2時間、あっという間だった。
もうちょっと、観ていたかったな・・・と。
通しで観てみると、「銀河鉄道の夜」というお話の中には
良いドラマの、ありとあらゆる要素が、しっかり含まれているんだな、
と、あらためて、知ることが出来た。
この調子で、次は是非、忠臣蔵あたりを?
などと、望んでしまうのだった。
たまには、雲のない夜に、
星空でも、ゆっくり、眺めてみるかな・・・。
以上。
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- 2009/06/28(日) 02:41:28|
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参の、日記。
20日、土曜。
正午まで、仕事。
昼下がりの14時、
JR日暮里東口より、<布の道>を歩く。
この周辺は、繊維の問屋街が並ぶ、布地の街なり。
駅前にある、白く真新しい陸橋上の、舎人(とねり)ライナーとの対比が、
昭和と平成世界の、架け橋みたいに見えて、不思議な感じがする。
日暮里の改造舞台スペース、<d-倉庫>。
外より階段を上り、2階より受付に入る。
当日券3500円、全席自由席。
女優・SATOMI(里見瑶子)嬢出演の舞台劇、
<Link Project vol.9>、「三人の女」を、観に寄る。
しょっぱなから、野良猫のような?謎の少女役が、登場。
舞台シリーズ自体や、台本?の話などを織り交ぜて、
観客に向けて、独り言を聞かせる。
孤独とテディ・ベアを抱えつつ、
「人を殺してでも生きる!」「武器はここにある!」とつぶやき続け、
ナビゲーターとして、時折、出没する。
なぜか、心に小さなさざ波を、起こすキャラクター。
今は夏至というに、舞台上には何ゆえか、クリスマス・ソングが流れ、
いかにも上流階級風な三姉妹達と、その親族らしき一同が集まって、
洋館の別荘?でのファミリー・ーパーティーが、催されている。
何やら、堅い、芝居だな・・・
と、最初のうちは、感じていた。
登場人物が、誰も彼も皆、人間関係での、立ち位置に悩み、
けたたましい、自己心理表出アピールを、ずっと、繰り返し続けるからである。
特に、物書きらしい男性の、機関車風?演技、
元人妻?風の女性役(注1)が、
周囲への気遣いでややお疲れ気味の、姉妹の一人を突っ込む様などが、
かなり、目立って見える。
里見嬢が、モンローのごとく、高橋ジョージ風?の彼氏役と踊り、
一同の会話に、加わったあたりから、
雰囲気に、明朗さと軽みとが注ぎ込まれ、やや転調して見えてきた。
自分の提案が、たとえ相手に受け入れられなくても、
自分は自分で、踊ってみせる、という生き方、接し方を示し、
何だか、心揺さぶられる、ほんのりしたものを、感じさせられる・・・。
オーソドックスな、小劇場の芝居だが、
なかなか、見応えのある時間であった。
そしてこの日小生は、休む間もなく、
次なる地へと、移動したのであった・・・。
羽衣、ってここの街にも、多分置いてないんだろうな?
などと、らしくない事を、つぶやきながら。
以上。
[主水、布の街に天女を観る]の続きを読む
- 2009/06/21(日) 13:28:17|
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順之助の、日記。
こんな時節柄に、何だけど・・・
しっかり、観てきた。
小さな舞台・「野原にて」を。
4日、土曜、昼間。
板橋区内、某所。
知人の俳優・青木隆氏が、演出&出演をする、という。
有名な、韓国の舞台劇、という。
しかも青木氏自身は、牛の役で出る、という・・・。
あのスタイルのいい人が、牛に?
どんなんだ、そりゃ?
というわけで、はるばる、来た。
仲の良かった、牧畜兄弟が、
怪しい調査員?達が二人の土地に、<境界線>を引いたがために、
徐々に仲たがいを始め、壁まで作ってしまい、
どうしようもなく、エスカレートさせてしまう。
そこへ、嫁に行った姉が、里帰りに来て、
事態を知り、奔走して・・・という話。
前半は、調子の良過ぎるライバル商売人男女が、軽快におちゃらけ往来。
しかし彼らを排除して、もう一方が、
自分達のけしかけた、兄弟の仲たがいに乗じて、
あれこれと物を売りつけて、金と土地を奪い、支配してゆく・・・。
本筋が、あらゆる国際紛争、いがみあいの縮図みたいな話。、
悪行を仕掛ける連中が、皮肉屋と乱暴者なので、
だんだん気分が、ダウナーになってくるのだが・・・。
終盤を、プロレス入り?の大ドタバタにしていたので、大笑い。
ブラックジャック?な農夫にも、爆笑。
おかげで幾分、救われた気分になった。
「モ~!」以外の台詞無しで、顔出しの気ぐるみ姿にて、
牛の喜怒哀楽!を、たっぷり演じた青木氏に、拍手す。
調子のいい事を言って、近寄ってくる、
怪しげな商売人達には、くれぐれもご用心を!
という教訓を得られる、芝居であった・・・。
以上。
- 2009/04/05(日) 12:59:58|
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竜の、日記。
先週末までは概ね、春先らしい晴天が続いたが、
22日午後より、雨天。急に冷える。
そんな中、西武新宿線・新井薬師駅より、
中野WESTEND STUDIOへと向かう。
ここも、随分と久しぶりだ・・・。
舞台公演、Funky Honey vol.7「ヤサシイウソ」。
女優8人衆の、共演芝居。
P-kraft作品出演の、くがあすか嬢が出る、というので、観に来た。
楽日・17時半の回に、若干遅れて到着、
誘導されて、地下ホールへ。
上演中のスペ-スの、すぐ横の階段を、
ゆるゆると降りて、席に着く。
こりゃ、まるで、エキストラ出演だ・・・!
チラシの説明では、「最後に、家族と話したのはいつですか?」とあるので、
「これ、小津映画調のホームドラマかな・・・?」と思っていたが。
観てびっくり、なんと、オール洋画風味のミュージカル劇であった。
チョコレート工場、ウエディング・カフェ、民営女子刑務所(!)を、
系列ですべて運営する、ピンク・ミンク姿の女性社長がいて、
3つの施設を、女優8人が扮する人物達が往来する、という設定。
昭和っぽい!といわれる、カルメンみたいな衣装の、
カフェの雇われ女店長。
その店長に、知り合いの夫婦の30周年祝いにと、
カフェ・ウェディングを頼む、刑務所の女看守。
女看守が勤める民営刑務所に、連れてこられた、
いわくありげな、2人の女囚(その一人が、くが嬢)と、
先輩の、女囚2人。
4人は看守の示す規則に基づき、模範囚を目指すべく、
系列のチョコレート工場作業や、
ウエディング・カフェでの、手伝いを行なう。
先輩女囚達は許可をもらって、一時外出が認められ、
普通にコンビニへ、買い物に行くこともある。
女性から金を巻き上げていたが、ある日交通事故に遭い、
記憶を失ったまま、カフェの女店長に拾われ、次第に彼女に惚れてしまう青年。
それを演じるのもまた、女優なのだが、男役。
が、ダンスシーンでは、普通に?女子の姿に戻るのだ。
その青年にのみ、声が聞こえる、猫(・・・も、女優)。
予想していなかったキャラ、登場。
やはり女店長に拾われて、飼われ始め、
青年に、恋のアドバイスをする・・・。
やがて猫は、自らの死期を悟り、一人去ってゆく・・・。
おお、チャンバラとドンパチ以外の、
好きなものが、みんな出ているではないか・・・!
ピンク衣装芝居に、モンロー・ショー、
泣きのドラマに、歌、コメディ、
ポップス名曲に合わせた、カラフル・チーム・ダンス・・・
明朗、快活、バラエティー。
おのおの個性豊かに、華がある、女優陣。
なかなかに、お得感あり。
はるばる、足を運んだ甲斐が、あったというもの。
日曜の夜に、いい夢を、見せてもらった。
小雨の中、一人、帰路に着く。
三寒四温、ようやく心も、春。
以上。
- 2009/03/24(火) 02:25:28|
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